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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「Apollo」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「Apollo」。実はこれは開発中のコードネームで、つい先ごろ「AIR」という正式名称が発表されました。従来のWebアプリの技術を統合し、インターネットリソースをブラウザという枠から解放してくれる画期的な技術です!

AIR(コードネームApollo)とは

Apollo(アポロ)とは、アドビシステムズが取り組んできたプロジェクトの開発時のコードネームで、デスクトップアプリケーションの実行環境のこと。開発者がすでに身につけているWeb開発スキル(HTML、Ajax、Flash、PDFなど)を利用し、ブラウザを立ち上げることなくデスクトップで実行できるWebアプリケーションを開発することができる。
 同社では、2007年3月19日、Adobe Labsサイト上で「Apollo」のコードネームでアルファ版をリリースした後、6月11日に「AIR(エアー)」という正式名称で、パブリックベータ版を公開した。ちなみに、AIRとは「Adobe Integrated Runtime」の略である。本稿では、「Apollo」ではなく正式名称の「AIR」を用いることとする。
 なお、製品版の公開は、英語版が2007年秋、日本語版は2008年初頭が予定されている

●AIRアプリケーションを体験してみよう

図1 Screenplay

青いラインでファイルを囲んだところ

青いラインでファイルを囲んだところ(資料提供:アドビシステムズ)

では、さっそくAIRを体験してみよう。まず、Adobe Labsにアクセスして、実行環境であるAdobe Integrated Runtimeをダウンロードする。インストールが完了したら、Adobe Labsが提供しているサンプルアプリケーションを動かしてみよう。サンプルアプリケーションはhttp://labs.adobe.com/wiki/index.php/Apollo:Applications:Samplesからダウンロードで入手可能だ。サンプルアプリケーションの起動は通常のデスクトップアプリケーションと同じで、アイコンをクリックまたはダブルクリックするだけである。ファイル拡張子はairになっている。(なお、今回ご紹介するサンプルアプリケーションは、パブリックベータ版公開以前にApollo用に開発されたものであることをお断りしておく。)
 たとえば、この中の「Screenplay」(図1)というサンプルアプリケーションは、デスクトップ画面上にダイレクトに自由に線を描くことができるツールだ。

また、「ApolloBook」というおもしろいサンプルアプリケーションがhttp://demo.quietlyscheming.com/source/ApolloBook.airからダウンロードできるので、これも紹介しておこう。「ApolloBook」をインストールして起動すると、図2のようなウィンドウが表示される。ここでは本のページをめくるようにWebページをめくっていくことができ、ブラウザよりもわかりやすい操作でサイトを閲覧できる(図3)。このアプリケーションは、HTMLで書かれたWebサイトを読み込み、それにFlashならではの動きのある表現を加えて、デスクトップに表示している。

図2 ApolloBookの表示例1              図3 ApolloBookの表示例2

好きな服やアクセサリを身につけさせることもできる かなりリアルな風景を作り込むことが可能

(左)Yahoo!を閲覧した後・・・(図3へ続く) (右)めくるようにしてキーマンズネットを閲覧(資料提供:アドビシステムズ)

●「AIR」の魅力

AIRは、ブラウザの枠を越えて、マルチメディア的なアプリケーションをインターネット経由でデスクトップに配信できるというほかにも、さまざまなメリットがある。まず、HTMLやJavaScript、Flashなどに通じ、Web開発のできる技術者は、そのスキルをそのまま活かしてApolloアプリケーションを開発できる。加えて、従来のデスクトップアプリケーションに比べ、開発や更新が容易な点もWebアプリケーション並みだ。
 さらに、GoogleやYahoo!が提供しているようなデスクトップツールは、Windows版とMac版など、OSごとに開発しなければならなかったが、AIRでは、どのOSでも稼働するアプリケーションを開発できるのも大きな魅力だ。
 視点を変えてユーザの立場からみると、これまでブラウザで利用する際にプラグインをインストールしなければ利用できなかったさまざまな技術が、AIR実行環境にすべてパッケージされているので、これさえインストールすれば実行できてしまうというメリットがある。

●米国の宇宙計画にちなんで名づけられたコードネーム「Apollo」

実は、アドビシステムズがAIRの前身、Apolloに至るまでには長い道のりがあった。同社では2001年より、Flashをブラウザに縛られることなく、PC上のオフライン環境でもひとつのアプリケーションとして動作させることができる環境を開発するプロジェクト「Macromedia Central」をスタート、1回目のMercury(バージョン1.0)、2回目のGemini(バージョン1.5)という形でリリースを続けてきた。この2つのプロジェクトはいずれも、米国の1番目と2番目の有人宇宙飛行計画にちなんで名づけられた。そして、実際に月に到達した最初の宇宙飛行ミッション「Apollo」というコードネームが付いた第3のプロジェクトの成功により、Flashの他にもさまざまなWeb技術を統合したデスクトップ実行環境が整備されたのである。

AIRの仕組み

それでは、AIRが実際にどんな技術で構成されているのかを見ていこう。図4を見ればわかるとおり、AIRアプリケーションにはHTMLとFlashの2つの要素があり、このいずれかの1つ、もしくは2つの組み合わせによって構成される。そして、いずれの場合もPDFの利用が可能だ。
 まず、HTMLアプリケーション技術を支えているのは、Mac OS XのSafariなどのブラウザの基盤にもなっているオープンソースのWebKitである。AIRの実行環境は、このWebKitを使って、HTMLのほかにJavaScript、CSS、Ajax、XHTML、ドキュメントオブジェクトモデル(DOM)などを処理できる。したがって、HTMLとJavaScriptだけでもフル機能のAIRアプリケーションを開発することができるわけだ。
 そして、もう1つのアプリケーション技術Flashの実行には、Flash Playerが使われている。よって、Flasn Player 9で実行できるもの、例えばActionScript 3(Flashコンテンツ開発のためのプログラミング言語)で書かれたプログラムや、現行のすべてのFlash Player APIなどがサポートされている。また、AIRアプリケーションの開発者は、ActionScript 3でインターネットアプリケーションを開発するためのフレームワークFlex(アドビシステムズ提供)が提供するすべての機能を、AIRアプリケーション開発時にも利用できる。

図4 AIRアプリケーションの技術構成

資料提供:アドビシステムズ

ここまでの説明でおわかりのように、AIRの実行環境はWebKitとFlash Playerの両方を持つことで、HTMLとFlashという、2つの代表的なWeb技術を統合し、その実行をデスクトップで可能にしている。例えば、HTMLを含むFlashコンテンツの場合、そのHTMLには、Flash内でビットマップに適用できるすべての視覚効果(ぼかし、回転、変形など)を適用することができる。
 さらに、AIRではActionScriptとJavaScriptの2つのスクリプトエンジンのほか、この2つの言語環境をつなぐ「スクリプトブリッジ」も提供しており、JavaScriptコードからActionScript APIを呼び出したり、ActionScriptコードからJavaScript APIを呼び出したり、JavaScriptとActionScriptの間で双方向のイベント送信をしたりすることができる。つまり、双方の環境でオブジェクトのやり取りをしている場合、片方の環境でオブジェクトに変更を加えたとき、もう片方の環境にもその変更が反映される仕組みになっている。

●AIRアプリケーション開発に必要なもの

HTMLやJavaScript、Flashなどで開発したものをAIR実行環境で実行できるようにするためには、AIR SDKまたはAdobe Flex Builderのいずれかを使ってairファイルを生成する必要がある。
 AIR SDKは、アドビシステムズ が提供する開発ツールキットで、同社Webサイトから無償でダウンロードできる。Flex Builderのような高度なレイアウト機能やデバッグ機能は搭載されていないが、AIRアプリケーションの開発・デバッグに必要なツールはすべてそろっている。アドビシステムズでは、今後、同社のWeb開発・デザインツールにAIRアプリケーション開発のサポート機能を追加していく予定だが、現在使っているWeb開発・デザインツールをAIR SDKと併用すれば、AIRアプリケーションの開発が可能だ(図5)。

図5 AIRの開発・配信フロー

資料提供:アドビシステムズ

AIRの可能性

それでは、AIRはどんな場面で活躍するのだろうか。冒頭でサンプルアプリケーションを紹介したが、これはほんの一例でしかない。OSやプラットフォーム、ブラウザを越えて、Web標準のアプリケーション・メディア技術をデスクトップに幅広く、確実に提供することのできるAIRには、発想次第でさまざまな可能性が広がっている。
 たとえば、Flash Videoによる動画とAIRを組み合わせた専用アプリケーションを開発すれば、インターネットTVを直接デスクトップに提供することができるだろう。また、PDFとAIRを組み合わせれば、デスクトップに情報誌を直接配信できる「定期購読」ビジネスモデルを実現することもできる。
 さらに、AIRは従来の広告モデルにも大きな影響を与える可能性がある。たとえば、AIRならアクセスユーザごとに必要な広告を選別表示するだけでなく、そこから直接アクションできる機能を付加することも可能になる。そうなると、現在のインターネット広告の表現手法も変わってくるかもしれない。

既存のWeb開発スキルで開発ができるAIRはWeb開発者の関心を集めている。AIRは正式リリースの後も無償で提供されていくため、すぐれたコンテンツさえ提供されれば、ユーザの間にもすぐに浸透していくことが予想される。また、将来的にはモバイルへの対応も予定されている。視覚的にも機能的にもリッチなAIRのコンテンツが、PCだけでなく携帯電話のデスクトップにも配信できれば、またさらに可能性が広がっていくことだろう。

取材協力 : アドビシステムズ株式会社

掲載日:2009年3月18日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2007年06月20日掲載分

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