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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
TD-CDMAってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化を速めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「TD-CDMA」。第3世代移動通信システムの1つであるTD-CDMAのおかげで、この秋、いよいよモバイルブロードバンドサービスが実現します!

TD-CDMAとは

TD-CDMAとはTime Division Code Division Multiple Access(時分割・符号分割多重接続)の略で、第3世代移動通信(IMT-2000)の通信方式の1つ。第3世代といえば、NTTドコモやボーダフォンの「W-CDMA」と、KDDIのMC-CDMA(cdma2000)がすでに実用化されているが、これらがいずれもFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)方式を採用しているのに対し、TD-CDMAはTDD(Time Division Duplex:時分割複信)方式を採用していることから、各方面から高い注目を集めている(図1参照)。
 FDDとTDDとの大きな違いは送受信の周波数帯域の使い方にある。FDDでは送信用の周波数帯域と受信用の周波数帯域を別々に設けているが、TDDでは送受信で同じ周波数帯域を使用している。なお、現行PHSもTDD方式を採用しているが、PHSの場合には通信方式がCDMAではなくTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重接続)であることからTD-CDMAのほうが周波数帯域の利用効率が5倍以上高くなっている。

図1 TD-CDMAの位置づけ
図1 TD-CDMAの位置づけ

資料提供:アイピーモバイル

【TD-CDMAが注目されている理由】

もともとTD-CDMAは1991年に慶應義塾大学理工学部の中川正雄教授が学会で発表した技術で、米国のベンチャー企業であるアイピーワイヤレス社がこの技術に注目して製品化に成功した。国内ではアイピーモバイルが慶應義塾大学の中川研究室とアイピーワイヤレス社の協力を得て、日本初のTD-CDMA事業者として2006年10月に運用を開始する予定になっている。この新方式に今注目が集まっている理由は以下の通りだ。

●占有する周波数帯域が少なくてすむ
 現在、GHz帯の周波数帯域の需要は急増していて、その帯域が枯渇してきている状況にあるが、TD-CDMAはTDD方式を採用していることから使用する周波数帯域を大幅に節約できる。
●下り最大スループットは約10Mbps!
 平均スループット約5Mbps、上り最大スループット1.7Mbps(10MHz、QPSK(四位相偏移変調)、16QAMを利用した場合)といったように通信速度が速く、第4世代の到来を待たずにADSL並みの通信速度をモバイルで享受できる。また、将来的に第4世代につながる96Mbpsまでの拡張性もすでに視野に入っている。
●低コスト!
 基地局間の通信インフラにIPネットワークを利用するので、従来の通信方式よりも低コストでブロードバンドサービスを提供できる。
●高速移動にも対応!
 携帯電話網(移動通信)と無線LAN(固定通信)との間で行う接続切り替えも、シームレスに行うことができる。また、海外ではヘリコプターによる時速250kmでの移動実験も行われ、その結果、高速移動通信も可能なことが実証されている。

TD-CDMAの特徴

ここでもう少し詳しくTD-CDMAの仕組みを見てみよう。国内の場合、W-CDMAのようなFDD方式では、図2に示すように、下り回線に5MHz、上り回線に5MHzを別々に確保し、さらにその間に両者の信号がお互いに干渉を起こさないようにするためのガードバンドと呼ばれる空白帯域を確保する必要がある。一方、TD-CDMAでは5MHzの帯域を時分割して上下回線として同時使用するようになっているので、ガードバンドが不要になり、占有する周波数帯域を節約することができる(ただし、ガードピリオドという何も通信しない時間帯をはさむ必要はある)。
 具体的には10msを15のタイムスロットに分けて、それぞれのスロットに上り/下りを柔軟に設定できる。また、例えば15タイムスロットのうち下り回線に9スロットを使って16種類のコードで多重化をかけてチャネルを共有することで(9×16=144)、1つの基地局にW-CDMAよりもはるかに多くの端末(100ユーザー以上)を接続することができる。また、上りと下りが同じ帯域を使うことから、基地局を経由せずに端末同士で直接通信を行うことも可能だ。

図2 TD-CDMAの仕組み
図2 TD-CDMAの仕組み

資料提供:アイピーモバイル

また、CDMA方式では基地局が各端末から受信する信号レベルをほぼ同じに維持しなければならない。そのため、W-CDMAでは、端末の送信出力を基地局から制御できるよう、端末は常に信号を送信している。しかし、上りと下りで同じ周波数帯域を使うTD-CDMAは、伝播ロスが同じであることから、基地局から送られるパイロット信号に基づいて、上りの送信出力を決定できるオープンループになっている。そのため、端末の間欠送信が可能で、常時接続においても端末の消費電力を下げることができ、バッテリー寿命を長くすることができる(図3)。

図3 電力制御
図3 電力制御

資料提供:アイピーモバイル

TD-CDMAの利用イメージ

日本初のTD-CDMA事業者となったアイピーモバイルでは、今年の10月に運用を開始する予定だ。まずは常時2Mbps、最大5.2Mbpsでスタートし、翌年以降はMIMO(後述の関連キーワード参照)技術を導入して、最大22Mbpsの定額制サービスを提供していく見通しだ。
 サービス形態としては、PCやPDA端末にPCMCIAカードやCFカードを差し込んで利用する「カード型」、自動販売機や業務車両などの通信モジュールとして業務機器に組み込んで利用する「組込型」、固定ブロードバンドをターゲットにした「モデム型」、デジカメ、音楽プレーヤー、ゲーム機などのポータブルデジタルデバイスをターゲットにした「携帯型」(モバイルブロードバンドゲートウェイ)という4つのカテゴリで普及を図っていくことになる。このうち最初に登場するのがPCをターゲットにしたカード型端末で(図4参照)、すでに実証実験では快適なモバイルブロードバンド環境が実現されている。

【TD-CDMAの優れた拡張性】

TD-CDMAがその真価を発揮するのは、単なるブロードバンドサービスとしての役割ではなく、実はその拡張性にある。現在、アイピーモバイルがTD-CDMAの目玉として位置づけている拡張性には「端末間通信」「ミニ基地局」「中継器」の3つがある(図5)。端末間通信では基地局の有無に関係なく、アマチュア無線やパーソナル無線のトランシーバーのように自由に端末間で直接通信できる。また、ミニ基地局は、無線LANのホットスポットを個人で簡単に開局できるという感覚だ。さらに中継器では、基地局まで電波が届かない部屋の奥などの電波環境の悪い場所からでも、窓際のTD-CDMA通信モジュールを組み込んだ自販機経由で通信できるようになる。

図5 TD-CDMAの拡張性
図5 TD-CDMAの拡張性

資料提供:アイピーモバイル

【期待されるMVNO方式】

TD-CDMAが第3世代移動通信市場で成功するかどうか、もう1つの鍵を握っているのがMVNO方式のビジネスモデルだ。ここでいう、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)とは、自社の通信設備を持たずに移動体通信事業を行う事業者のこと。周波数の割り当てを受けているアイピーモバイルはMNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)としてMVNOにTD-CDMA回線を卸売価格で提供する。そして、端末などのプラットフォームは多くのMVNO間で自由競争させて、ビジネスモデルとコンテンツ/アプリケーションの多様化の促進を図っていく。さらに、この新しいMVNO方式ではパートナーの要望に応じて責任分界点を柔軟に変更できる仕組みも準備するという。これがうまくいけば、移動中のネット環境の使い勝手は飛躍的に向上するはずだ。

取材協力 : アイピーモバイル株式会社

掲載日:2009年3月18日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2006年5月24日掲載分

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