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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「AR(強化現実)」ってなんだ!?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマは「AR(強化現実)」。コンピュータで情報を補うことで、目に見える現実の事物への認識を助ける技術です。ヘッドマウント・ディスプレイなどの身につけられる機器上に、自分のいる位置や、見える景色に関連する情報が表示される…、そんな夢のような技術に関する研究が進められています。

AR(Augmented Reality:強化現実)とは

ARの一例。[Scroll Browser] 壁の中の配線の様子を見ている。

▲ARの一例。[Scroll Browser] 壁の中の配線の様子を見ている。

コンピュータの情報処理を通じて、目前に広がる実在する空間と、映像や音楽、文字などさまざまな情報とを重ね合わせる技術。これまで、「現実」をただ見るだけでは知りえることができなかった知識や情報を補完し、“現実の認識を強化する”ことから、「強化現実」と呼ばれている。例えば、美術品を見ているときに、「美術品」という目に見える現実空間に、その作品が作り出された時代背景や、他の作品との関連性といった様々な情報が、「映像」や「音声」、「文字」などの形式で重ね合わされることで、より現実世界への理解を深めることができる。このように、人が目にする現実世界に対する認識を様々な形で補完し、強化するところがARの最大の目的といえる。

■AR登場の背景
 ARが登場する以前から、実際には存在しない、データの世界に存在する「仮想的な空間」を、あたかも現実らしく見せる「バーチャル・リアリティ」(=仮想現実)が広く研究されていた。ARは、いわばこの仮想現実とは正反対の技術といえる。例えば仮想現実では、実在しない空間の中に人が入り込み、その中を動き回るという処理が可能であるが、すべての空間や状況を仮想的に作り出すには膨大な時間と労力が必要であり、また、その空間を広げるには限界があった。また、仮想現実の応用例は、現実では体験する事ができない医療や軍事などのシミュレーション訓練や、遊園地のアトラクションなどと限られており、こうした流れの中で、リアルな空間にデータを重ね合わせるというインターフェースを持ったARが注目されることになる。

ARの実装方法と利用範囲

ARの実現には、現在どこにいるかを正確に把握するGPS機能や、人がどの方向を向いているかを知るためのジャイロ・スコープといった角度情報を知るための機器、その場所に関連した情報が集積されたデータベース、それらを表現するためのコンピュータの処理スピード、デバイスの軽量化、必要時間に耐える省電力化と電源容量の向上、インターネットのアクセスポイントの整備など、多くの課題がある。近年の技術革新から、こうした技術的課題が徐々に克服されつつある。これまで高価で手が出なかった一部のパーツも、民生品で手に入るレベルになってきている。また、無線技術の発達から、ネットワーク経由で情報を取得することで、膨大な情報も瞬時に入手することが可能となった。


下図は、商品倉庫でARを利用する場合の具体的な実装方法の一例だ。目前にある商品を梱包したままの状態で、バーコードやRFIDなどを読み取り、無線LANを介してコンピュータセンターの商品情報を照会する。そして商品の写真や名称、他の倉庫の在庫状況など、必要な情報を即座に知ることができる。こういった逐次変化する状況に対してリアルタイムに追う必要があるカーレースや工場のプラント、中央司令室から離れた倉庫などの現場においても、作業の図面や指示などを入手・閲覧するなど、作業の効率化がはかれる。

ARの実装イメージ

ARは初期の研究では、プリンタの保守作業において、ワイヤフレーム(線のみで描かれる映像)と実際の映像と重ね合わせることでコンピュータの構造を補足し、機器だけ見ても分からない分解方法を作業者に示すことが実験された。このように、ARは仮想的な空間を作り出すのではなく、実際にある現実に映像や情報を付加するため、現実社会のあらゆる状況で応用できる。


仮想現実では、コンピュータ・グラフィックをふんだんに使用し、リアルに映像を表現することで仮想的な空間を実現しているが、ARでは必ずしも、映像そのもののリアルさが求められてはいない。というのも、現実を補完するために、人間にもっとも適切な形式(文字・映像・音声…)で提示すればよいからだ。このため、コンピュータ・グラフィックスなどの映像を専門とする研究者だけではなく、人間の使い勝手を専門とするヒューマン・インターフェースの研究者も加わり、「デスク型」、「スカウタ型」、「のぞき窓型」など様々なデバイスの形状が研究され、実用的な試作品も数多く登場してきた。「光学迷彩」もその1つとなりえる。

将来的な利用イメージ

既に軍用利用や航空機、車両整備などの限られた分野では、頭にヘッドマウント・ディスプレイを取り付け、目前に適切な情報を映し出し、作業を補完するための技術として、モバイルコンピューティングの分野での研究が進められている。海外では建築分野における工事の進捗管理に使用するといった事例もあり、こうした事業目的の利用は、アプリケーションの充実により普及していくことだろう。

現在のカーナビも広い意味ではARの一種ともいえるが、その表示方法が車載端末のディスプレイ上ではなく、車のフロントガラス全体に表示されるといったインターフェースの進化が考えられる。現実に見える交差点の空間と、フロントガラス上に表示された道案内の情報が重ねあわされることで、現実との境目がなくなっていくのではないか。こうしたARの日常化は、携帯電話や家電などから始まり、デバイスが小型化され、そして現在はARとは無縁と考えられているような机や引出しのような家具や鏡などにも搭載され、利用者が意識せずいつの間にか使用しているという未来像が考えられるだろう。

取材協力 :玉川大学工学部 椎尾一郎教授

掲載日:2009年3月18日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2005年1月19日掲載分

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