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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「著作権侵害コンテンツ検出技術」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「著作権侵害コンテンツ検出技術」。動画コンテンツが、プロによって撮影されたものか、アマチュアによって撮影されたものか、一瞬で見破る技術が登場しました。

著作権侵害コンテンツ検出技術とは

著作権侵害コンテンツ検出技術とはビデオフィルタリング技術の1つで、YouTubeなどの動画共有サイトに第三者が無断でTV番組や映画などの動画コンテンツを投稿・公開できないようにするための技術のことを指す。著作権侵害コンテンツ検出技術には、検出対象と全く同じ動画コンテンツが事前に必要となるReduced Reference(RR)方式と、検出対象の動画コンテンツが必要ないNo Reference(NR)方式がある。

RR方式の代表例には指紋方式があり、動画コンテンツの指紋(動画コンテンツを識別するための特徴量のことで、具体的には動画に含まれる色の情報、明るさの情報、物体形状の情報など)を用いる。指紋方式では、動画共有サイト側があらかじめ著作権保護に該当する動画コンテンツの音響や映像の特徴を「指紋」としてデータベースに登録しておき、第三者が動画コンテンツを投稿すると、指紋の照合が行われ、合致した指紋が見つかった場合にはそのコンテンツをブロックするという仕組みになっている(図1)。すでにYouTubeやMySpaceなどで導入されている米国Audible Magic 社の技術をはじめ、様々な指紋技術が開発されている。

図1 指紋方式の仕組み

一方、NR方式に属する技術を開発したのはKDDI研究所で、動画コンテンツが「プロによって制作されたもの」なのか「アマチュアによって撮影されたもの」なのかを自動判別することにより、TV番組や映画などの無断投稿を検出しようというものだ(図2)。この「プロアマ判別方式」では、プロとアマチュアの撮影機器の違い、撮影技術の違い、制作工程の違いなどに着目し、これらの違いが表れる映像・音声特徴を高度に解析して、プロによる制作物か、アマチュアによる制作物かの判断を行っている。たとえば、撮影機器の違いでは、プロの撮影機器は業務用のため高性能・高品質だが、アマチュアの撮影機器は業務用と比べると低性能・低品質になる。また、撮影技術の違いでは、プロは撮影時のカメラの動きが安定していて、補助光なども使用しているケースが多いが、アマチュアは手ブレなどが発生する。さらに、制作工程の違いでは、プロは撮影後に映像編集や音入れ、テロップの追加などが行うが、アマチュアは撮影されたままの状態か編集が加えられたとしてもシンプルなものが多い。こうしたプロとアマの違いを見極めるためのファクタをいくつも組み合わせながら総合評価を行うことで判定精度を高めている。
 KDDI研究所では、動画共有サイトをキーワード検索して得られた1500本余りの動画コンテンツを実際に人が見て、TV番組などが投稿されたものか、個人撮影の動画が投稿されたものかの判断を行った場合と、プロアマ判別方式で判定した場合の結果の違いを発表しているが、それによると98.2%という高い精度で自動判定できたという。


※なお、KDDI研究所では、個人撮影の動画コンテンツにも著作権は存在することから、同社が開発したプロアマ判別方式について、「著作権侵害コンテンツ検出技術」ではなく、「違法コンテンツ検出技術」としている。

図2 KDDI研究所が開発したプロアマ判別方式

2.著作権侵害コンテンツ検出技術が求められる背景

こうした著作権侵害コンテンツ検出技術が求められる背景には、動画共有サイトの利用者の急増にともない、テレビ番組や映画などの映像が不正に投稿されるケースが多くなってきたことが挙げられる。実際、韓国の放送局KBS、MBC、SBSなど6社は、2008年3月、YouTubeに対して著作権違反行為の中止と再発防止措置を求める内容証明を送ったことを発表しており、放送局の著作物に対する不法な権利侵害が大規模に行われていると指摘している。また、「ニコニコ動画」では、これと同じ時期にNHK、日本テレビ、TBS、フジテレビジョン、テレビ朝日、テレビ東京の6社に対し、ニコニコ動画内における既存の著作権侵害に該当する放送番組動画はすべて削除すると同時に、新規投稿動画の監視を行って著作権侵害に該当するものについては直ちに削除するという内容の申入書を提出している。
 とはいうものの、動画共有サイトの中からテレビ番組や映画などの不正投稿を見つけるには、人間が目視で確認する必要があり、その排除には膨大な手間と時間がかかる。そこで、そういった違法コンテンツの排除作業を少しでも効率よく実施したいというニーズから、著作権侵害コンテンツ検出技術が開発されるようになってきたわけだ。しかしながら、現在使用されている指紋方式では、以下のような課題がある。



 ○放送局や映画会社などの著作権所有者は所有する動画コンテンツを動画共有サイトに提出し、著作権を申告する必要がある。

 ○動画共有サイト運営者は動画コンテンツの指紋をあらかじめデータベースに登録しておかなければならない。

 ○あらかじめ著作権が申告された動画コンテンツ以外の違法コンテンツを排除することができない。

 ○コンテンツの改変、圧縮などにともなって元のコンテンツと指紋が異なってしまう場合がある。

 ○日々新たに増え続ける動画コンテンツに追随していくことは極めて困難。

KDDI研究所ではこうした問題点をクリアするための新しい方法としてプロアマ判別方式を考案したのである。プロアマ判別方式では指紋を参照することなく判定できるので、事前に指紋をデータベースに登録しておく必要がなく、コンテンツが改変されても判定できるので、著作権所有者にとっても動画共有サイト運営者にとっても非常に導入しやすい方式といえる。

3.著作権侵害コンテンツ検出技術の利用シーン

プロアマ判別方式による著作権侵害コンテンツ検出技術は、動画共有サイトにおける動画コンテンツ検閲エンジンとして活用することができる。一般的なWebサーバで十分稼働させることが可能で、高性能なサーバを別途用意する必要はない。サイト利用者が動画コンテンツを投稿すると、アップロード中にプロかアマチュアか直ちに自動判別される。そして、アマチュア撮影と判別されたら公開、プロ制作と判別されたら非公開、またはプロと判別されたものだけ目視によるチェックを実施するという仕組みでサイトを運用できるようになる。もちろん、指紋方式と組み合わせてシステム構築すれば、さらに判定精度を高めることもできる。
 また、プロアマ判別方式は、動画コンテンツ採点アプリケーションとしても利用することが可能だ。動画コンテンツを投稿するだけで、プロ度X%/アマチュア度X%という採点を行えるので、そのコンテンツの出来栄えを客観的に評価できることになる。従って、コンテンツ制作関連スクールなどの教育分野でもその利用が期待できる。
 今後の課題としては、アマチュアが使う撮影機器の性能向上にどのように対応していけばよいかという点がある。たとえば、カメラの手ブレ防止機能の性能向上で、手ブレは判定ファクタとしての重要度が下がってくる。一方、プロのコンテンツでも「クローバーフィールド HAKAISHA」(2008年4月公開)のようなハンディビデオカメラによる、手ブレがひどいポイント・オブ・ビュー(主観撮影)を取り入れている作品も登場している。従って、現在の98.2%という高い判定精度を維持していくには、技術進化と表現手法の変化に合わせて、判定ファクタの閾値(しきいち)の取り方や判定ファクタの組合せノウハウをさらに洗練させていく必要がある。ただし、著作権侵害コンテンツの大半が、違法と知らずに投稿しているような悪意のないユーザによるものだとすれば、ある程度の判定精度を維持するだけで十分効果的である。


取材協力 :株式会社KDDI研究所

掲載日:2009年3月11日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2008年5月7日掲載分

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