本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > デジ・ステーション

デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「インターネット傘パイレウス」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「インターネット傘パイレウス(Pileus)」は、インターネットから降り注ぐ多様な情報を受け止める傘。雨の日の街歩きを楽しくしたい!という思いから開発されたまったく新しいインターフェースを今回は紹介します!

1. インターネット傘パイレウスとは?

インターネット傘パイレウス( Pileus)は、傘の天井を画面として利用し、傘の柄を左右に揺らしたり、柄についている小さなボタンを押したり、あるいは単に傘を持って街を歩くだけというきわめて簡単な操作で各種ウェブサービスにアクセスできるように設計された、まったく新しいインターフェースである。
 2006年に開催された慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の研究発表イベント「SFC Open Research Forum 2006」において、最初のプロトタイプが公開され、2008年の今現在、事業化に向けての開発が進められている。
 ちなみに、パイレウス( Pileus)とは、英語で「キノコの傘」や「頭巾雲」を意味する単語。インターネットという巨大なデータベースを頭巾雲に見立て、そこから降り注ぐコンテンツをキノコの傘に映して見る、というのがその命名の由来である。

1-1 パイレウスでできること

パイレウスは、ウェブブラウザなどと同様のインターネットに対するインターフェースであるので、インターネット上の様々なコンテンツにアクセスすることが可能である。開発段階の今、実装されているサービスは、Flickr(写真共有サービス)と連動した写真撮影・共有機能と、Google Earthによるナビゲーション機能の2つである。


Flickrと連動した写真撮影・共有

パイレウスの柄にはデジタルカメラが内蔵されているので、歩きながら目に留まった風景やお店を撮影することができる。撮影した写真は、即座にFlickrにアップロードされるので、Flickr上で友人や家族らと目の前の風景や出来事を共有することも可能だ。パイレウスには、GPSの機能がついているので、Geo-Tag(位置情報)を写真に添えることで、どこでの出来事であるかもちゃんと伝えることができるようになっている。
 また、信号待ちやバス待ちの際に、撮影した写真を順番に傘の天井に映し出して見ることもできるし、今歩いている地域の写真や友人によって撮影された写真をFlickrから取得して閲覧することもできる。
 操作もきわめてカンタンで、撮影は柄についている小さなボタンを押すだけだし、画像のブラウジングも傘の本体を少し左右に揺らすだけで、写真がスクロールしていくようになっている。ちゃんと雨の日の街中でも楽しめるようにデザインされているのだ。


3D地図によるナビゲーション

この機能は、カーナビと同じように、GPSセンサとデジタルコンパスを組み合わせることで、傘の内側に現在自分がいる場所の3D地図を数百メートル上からの鳥瞰図で表示することができる。プロトタイプでは、地図表示のためにGoogle Earthを採用している。
 実際に渋谷・代官山周辺で行った街頭実験では、街を詳しく知っている人でも、目的地への思いがけない近道を見つけることができたり、普段通ったことない道を発見したりといった実用上のメリットが少なからず報告されたという。繁華街などでは、クルマの入れないところにも網の目のように路地が広がっていることが多いため、カーナビ以上に歩行者用のナビゲーションは役に立つ可能性があるといえるだろう。


2. パイレウスの仕組み

パイレウスは、傘の位置と動きを検出するセンサ、傘に映像を映し出すプロジェクタ、デジタルカメラ、システムの制御とインターネットへのワイヤレス接続を行うコンピュータ、の4要素で成り立っている。これらの技術はどれも既存のものであり、利用するウェブサービスもGoogle EarthやFlickrなど既存のコンテンツである。既存のリソースを組み合わせて新しいサービスを組み上げる手法をマッシュアップと呼ぶが、パイレウスはソフトだけでなくハードウェアも既存技術を組み合わせるマッシュアップ的なアプローチで構成されている。

要素1:センサ

方位を検出するデジタルコンパスと、傘の動きを検知する加速度センサ、GPSの3つのセンサがパイレウスには搭載されている。これらにより、傘の柄を揺らすだけで映像を左右に送ることや、向いている方角に合わせたGoogle Earthの映像を投影することが可能になっている。

要素2:プロジェクタ

現在は市販のモバイルプロジェクタから最小のものを選んで使用している。携帯電話に内蔵できるぐらいのプロジェクタも開発されつつあるので、将来的にはより小型、軽量なものが柄の中に内蔵されるだろう。映像を鮮明に見るための高輝度化も課題の1つである。


要素3:デジタルカメラ

携帯電話に搭載されることで、小型軽量化の進んだデジタルカメラはパイレウスを構成する技術の中で、最も開発が進んでいるものといえるだろう。画素数や画質などを含めて、既存のものを組み込むだけで十分な性能だといえる。

要素4:コンピュータ(プロセッサ)

プロトタイプでは、市販のノートPCを背中のリュックサックに入れて、FlickrやGoogleEarthのAPI(アプリケーションプロトコルインターフェース)に接続されたアプリケーションを動かしている。携帯電話などの高機能、ハイスペック化を見ても、傘の柄程度の空間にプロセッサとインターネットとのワイヤレス通信機能を搭載することは容易だろう。


3. パイレウスが目指す、新しいインターフェースの可能性

人間とコンピュータをつなぐ次世代のインターフェースの研究では、ここ数年、タンジブル・インターフェースというコンセプトが注目を集めてきた。 タンジブル(tangible)とは、「実際に触ることのできる」という意味の英語で、タンジブル・インターフェースとは、傘やコップのように日常的に用いるモノを振ったり、ひねったりする動作をコンピュータに対する入力に置き換えようとする新しいインターフェースの概念である。実はパイレウスは、ウェブ時代のタンジブル・インターフェースの1つの具体例として、海外などでも注目されているのだ。
 インターネットには、写真、地図、地形のみならず、辞書、事典、音声、動画など無数のコンテンツとそのAPIが存在する。これらを利用するための方法は、現在のところはPCとウェブブラウザの組み合わせが主流だが、インターネット上のサービスは、本来どのようなインターフェースからでも利用することが可能である。
 今でもノートPC1台を持ち歩いていれば、インターネットのあらゆるサービスはもちろん、テレビや辞書、書籍、DVDの鑑賞など、現在の情報サービスのほとんどにアクセスすることができるが、それはどこまで行ってもモニタの中のこと。GUIというのは、アイコンやデスクトップといったメタファー(比喩・例え)によって構築されたバーチャルな空間に過ぎない。パイレウスが実現しようとしているタンジブル・インターフェースは、これを私たちの普段触れている傘、などのモノに改めて取り出すことで、情報やコンテンツを生活空間によりリアルな形でもたらす試みだと言えるだろう。

■参考URL
http://www.pileus.net/

取材協力 :Pileus LLC(Pileus合同会社)
慶應義塾大学 政策・メディア研究科 奥出研究室

掲載日:2009年3月11日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2008年4月16日掲載分

検索

このページの先頭へ