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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
ペーパーディスクってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマは「ペーパーディスク」。光ディスクが紙になると一体どんな便利なことが起こるのでしょうか。環境保護に取り組んでいる企業の方々は特に必見!

ペーパーディスクとは

ペーパーディスクとはブルーレイディスクの約半分が「紙」でできているディスクのこと。厳密にいうと、従来プラスチックが使われていた下層部分だけが紙素材に置き換えられており、ディスク全体の重量に対して51%以上が紙で占められている(紙化率)ディスクを指す。ソニーと凸版印刷が開発に成功し、2004年4月にODS(Optical Data Storage 2004:光ディスクの学会)で研究発表された。

次世代の大容量光ディスクとして注目を集めているブルーレイディスクの性能はそのままで、「紙」として捨てることもできるようになる。紙化率が51%を超えているため、地方自治体のゴミ回収基準で「紙類」として認められるからだ。

今回発表されたペーパーディスクは、ブルーレイディスクの規格でいうと片面1層の再生専用25GBタイプのもので、形状はCDやDVDと同じ直径12cm、ディスクの厚さは1.2mm、記録層の厚さは0.1mm、紙化率は52%で、ハイビジョン映像をそのままの高画質で2時間以上録画できる。

図1 ペーパーディスクの構造
図1 ペーパーディスクの構造

(資料提供:ソニー)

ペーパーディスクには、従来からのブルーレイディスクの特徴に加えて次のような新しいメリットがある。

1)ディスク廃棄時のデータ漏洩の心配がなくなる(廃棄性)

ディスクを廃棄する場合、ペーパーディスクなら家庭用のハサミで簡単に断裁することができるため、ディスク自体を完全に破壊することができ、データ漏洩の心配がなくなる。

2)意匠性に優れたレーベル印刷が可能になる(装飾性)

従来の光ディスクのレーベル面にも文字や絵・写真などを印刷できるが、プラスチック素材への印刷のため、通常はシルク印刷という手法が用いられており、「紙への印刷」と同等レベルの印刷表現は難しい(色や再現性など)。ペーパーディスクでは、真ん中に挟み込まれる紙部分へ直接印刷できるため、紙に対する高度な印刷技術がそのまま利用できる。

3)環境保護に貢献できる(環境適性)

CDやDVDなどの光ディスク全体の生産量は、全世界で年間約200億枚と言われている。光ディスク1枚あたりに使われているポリカーボネートは15グラムなので、全部で30万トン以上、実際には50万トン近くのプラスチック材料が消費されている状況だ。これを紙素材に置き換えることで、枯渇性資源であるプラスチックの使用量を削減できる。また、ペーパーディスクは紙類であることから焼却可能になり、有毒ガスも発生しない。

こうして「ペーパーディスク」は誕生した!

ペーパーディスクの開発成功のニュースは確かに大きなインパクトがあったが、その内容が分かってくると、「なぜCDやDVDじゃなくてブルーレイディスクなの?」「そんなに良いことばかりなら、なぜ最初から紙で作ろうとしなかったの?」といった素朴な疑問もわいてくる。

【ブルーレイディスクでなければペーパーディスクは実現できなかった!】

まず1つ目の疑問をクリアするために、CD、DVD、ブルーレイディスクの構造を確認してみよう(図2参照)。ディスク全体の厚さは3種類ともすべて1.2mmで同じだが、レーザー光が当たる盤面から記録層までの距離がそれぞれ異なっている。CDの場合は1.1mm、DVDの場合は0.6mm、そしてブルーレイディスクの場合は0.1mmしかない。つまり、後で開発された光ディスクほど、記録層とレンズの距離が短くなっている。

このように、ブルーレイディスクはCDやDVDと比べるとレーザーが透過する層の部分が極めて薄いため、その反対側のレーザーが当たらない部分はそれだけ厚い構造になっている(つまり1.2−0.1=1.1mm)。そこで、この部分を紙素材にすることでペーパーディスクの開発(紙化率を51%以上にすること)が可能になったのである。また、下層部分をわざわざ紙素材にしなくても「0.1mmの記録層」のみでいいじゃないかという発想も生まれてくるが、0.1mmではディスクとしての強度が保てないため現実的ではない。一方、CDやDVDの場合は、紙にできる部分が厚い構造になっていないため(CD:1.2−1.1=0.1mm、DVD:1.2−0.6=0.6mm)、紙化率を51%以上にすることは不可能なのである。

図2 ブルーレイディスク、DVD、CDの各記録層の位置
図2 ブルーレイディスク、DVD、CDの各記録層の位置

(資料提供:ソニー)

【紙の平滑化は「サンドイッチ構造」でクリア!】

ブルーレイディスクに紙素材を使おうという話は、実は2年ほど前まで遡る。ソニーでCD-Rの開発を行っていた技術者がカートカン(カートン紙を使った液体容器)の存在を知ったのがきっかけだった。紙なのに水に強いカートカンを見て、カートカンを得意とする凸版印刷にブルーレイディスク用の紙の開発を依頼したのである。

しかし、ディスクの芯材として紙を使った場合、従来から使われているポリカーボネートのような平滑性や平坦性を実現することが難しく、ブルーレイディスクの曲がり許容値内に収めるにはかなりの試行錯誤が必要だった。凸版印刷では、最初に紙表面に数μmの薄い樹脂塗工を施して紙の凹凸を吸収しようとしたが、ディスクとして満足できる品質を得ることはできなかった。その後、平滑性の高いフィルムを紙の両面に貼り合せる「サンドイッチ構造」を考え出し、さらに試作/評価を重ねた結果、0.18mmのポリカーボネートフィルムを使うことで、従来のポリカーボネート品に近い平滑性と剛性、そして湿温度変化に対するそり耐性を実現することができた。また、紙の原材料にも平滑性、剛性、平坦性のバランスが取れた高密度パルプが使われている。

将来の利用イメージ

ペーパーディスクの普及は当然ながらブルーレイディスクの普及次第である。大容量次世代光ディスクとして大きな注目を集めるブルーレイディスクだが、現行DVDとの互換性を有したHD-DVDが登場したことで、「ポストDVD」の座を巡っての主導権争いが活発化している。先行するブルーレイディスクは、既に片面1層25GB、片面2層50GB対応のメディアが発売されており、2003年4月にはソニーから、また2004年7月には松下からブルーレイレコーダーの発売も始まった。2004年12月現在でも50GBタイプならBSデジタルハイビジョンを約270分も録画できるが、2006年には片面4層の100GB、さらにその先、片面8層の200GBも実現できるところまで技術開発が進んでいる。また2004年10月、ブルーレイディスクの普及促進を目的とした新組織「ブルーレイディスクアソシエーション(BDA:Blu-ray Disc Association)」が発足され(2004年11月15日時点で88社が参加)、サービスやソフトウエアとの連携も徐々に始まっていくだろう。

ペーパーディスクは、2004年12月現在、研究・試作段階で実用化はこれからだが、ソニーでは3年先を目標にペーパーディスクの量産を目指している。最初はそれほど高信頼性を必要としない日常使用の分野での利用促進を図っていく予定だ。例えば、展示会などで不特定多数に無料配布する販促用ディスク、書籍や雑誌の付録ディスク、レンタルビデオなどの各種コンテンツ用ディスクなどが考えられる。再生専用(BD-ROM)のペーパーディスク単価についても、量産次第でCD-ROMと同じ程度のコストまで下がると予測されている。

「プラスチックでしかできない」という光ディスクへの固定観念を、あっさり覆したペーパーディスク。ブルーレイディスクはまだ一部のパワーユーザー用というイメージがあるが、ペーパーディスクの普及によって、一般生活者にとっても身近なものになっていくのではないだろうか。

取材協力 :ソニー株式会社、凸版印刷株式会社

掲載日:2009年3月11日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2004年12月1日掲載分

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