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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
超臨場感コミュニケーションってなんだ!?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を早めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマは「超臨場感コミュニケーション」。人間の五感に働きかける情報を伝達することで、まるでその場にいるかのように感動を伝えようとする技術です。昔、映画や漫画でみた近未来の技術が、一般の家庭で体験できる日もそう遠くないかも知れません!

超臨場感コミュニケーションとは

超臨場感コミュニケーションとは、文字通り、まさにその場に自分がいるかのように事物を体感できるようにする、もしくは遠く離れた場所にある事物をあたかもその場にあるかのように体感できるようにするためのコミュニケーション技術の総称。臨場感あふれる映像や音を伝える3次元画像の表示技術や立体音響技術をはじめ、実際にその映像を手で触って触感を確かめることができるようにしたり、さらに匂いを伝える技術に至るまで、五感情報の伝達を目的とした技術すべてを包括する。
 実は、個々の技術は異分野の様々な企業や研究者が個々に研究を続けてきており、すでに実現されつつある。そして、それぞれの研究成果を連携させ、実用化を推進しようという取り組みが、2007年2月から、総務省が主導する「イノベーション25」という2025年に向けた国家政策として始まっている。さらに3月には、独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)、関連分野の企業、有識者、総務省により、超臨場感コミュニケーションに関する産学官合同のフォーラムが設立された。国内の電機メーカーや大学の研究室など、約140会員が協力し合い、超臨場感コミュニケーションに関する研究開発、実証実験、標準化などを積極的に推進していくことになっている。

■一般家庭への普及を目指す
こうした国をあげての活動では、現在のところ、視覚と聴覚に対して働きかける立体の映像と音響の伝達が中心となっている。この背景には、すでに立体映像や音響が技術的に実現されており、一般の人々への普及だけが課題として残されているという事実がある。テーマパークのアトラクションや、3D映画館でこうした技術が使われていたり、ノートPCでもすでに立体映像に対応したものが販売されていたりするにも関わらず、いまだ立体映像や音響は我々にとって身近なものとはなっていないのが現状だ。
 この立体映像・音響技術を、一般の家庭にまで普及させていくことが目標とされている。そのためには、一般家庭でも購入可能な価格帯での高精細なディスプレイが必要になると同時に、3D映像コンテンツを再生するために必要な情報を送受信できる通信環境が不可欠となる。
 現在、すでに放送が開始されている地上波デジタル放送が2011年までに切り替えを終了し、日本のテレビ放送のインフラが変わろうとしている。さらにそれに続く時代を担う放送インフラとして、立体情報を使ったテレビ、すなわち3次元放送が構想されている。日本は3D技術において世界的にみて特に進んでいるため、日本の技術を世界の標準としていきたいという国家戦略的な構想もある。  こうした活動が順調に進めば、10年以内には、メジャーリーグベースボールの試合を、家庭にいながらにして、現地のスタジアムにいるかのように体感できるかも知れない。もしくは、立体映像を使ったビデオ会議システムで、海外の企業との商談を進めたりすることも考えられる。

まず実現されるのは立体映像放送?

上述のように、超臨場感コミュニケーションに不可欠な要素技術の中で、もっとも研究・開発が進んでいるのが立体映像だ。実は、立体映像の研究・開発の歴史はすでに20年以上にも及ぶ。これまでも、専用の眼鏡をかけて視聴するシステムがあったほか、5年ほど前には眼鏡なしでも映像が浮き出て見える裸眼立体技術が携帯電話やパソコンに搭載され、商品化もされている。
 立体映像を実現する仕組みを知るために、まずものが立体的に見える仕組みをみてみよう。人間がものを見るとき、右目で見る映像と左目で見る映像の位置がずれているために、見え方に微妙な差(視差)ができる。この2つの映像が脳内で合成されて、初めてものが立体的に見えることになる。
 従って、立体映像では右目用と左目用の、微妙に異なる2種類の映像を表示することで、立体を表現しているケースが多い。1つのディスプレイで表現するには2倍の解像度が求められるが、現在ではHD対応のテレビなどが登場しているように、ディスプレイの高精細化が進み、映像の情報量が格段に増えてきていると同時に、ネットワーク技術の進化により伝達できる情報量も増えていることから、実現はそれほど困難ではないと考えられている。

図1 立体映像による放送のイメージ

このように、進歩著しい分野ではあるものの、立体映像にはまったく問題がないわけではなく、そのために普及があまり進んでいないともいえる。例えば、従来の立体映像の中には、長時間見ていると乗り物酔いに似た症状が出てしまうものがあった。これは本来近くのものと遠くのものでは目のピントの合う位置が変わるにも関わらず、映像のピントは常にスクリーンのままという「調整輻輳矛盾」が主な原因だ。立体映像の普及のためには、気分が悪くなるといった悪影響を人体に及ぼさないよう、安全性の確保も重要な課題の1つとして挙げられる。しかし、こうした課題は、新しい技術によって徐々に克服されつつある。
 それでは、立体映像による放送がどれくらい実現に近づいているのか。それを感じていただくため、超臨場感コミュニケーション産学官フォーラムの設立総会と同時に開催された展示会の内容を以下に挙げる。

表1 フォーラムの設立総会の展示内容
  • 2次元映像と3次元映像の双方の利用が可能な液晶ディスプレイ
  • 光線の進行方向を0.38度の高い精度で72方向に指向性を制御し、調整輻輳矛盾による眼精疲労がなく滑らかな運動視差を有するディスプレイ
  • 上下左右どの方向から見ても立体映像が見える、自然な立体表示が可能な3次元ディスプレイ
  • 平置き型で実物からの光に近い光線を再生するインテグラルイメージング方式による自然で見やすい立体映像
  • ディスプレイを2枚重ねたシンプルな構成で、立体錯覚現象を利用した裸眼3次元映像システム
  • ハイビジョンの4倍の解像度を実現した4K2K超高精細映像と、周辺騒音を低減し迫力あるサラウンドを実現するリニアスピーカー・サラウンドシステム
  • 自然な立体表現を重視し、光線情報の再現可能なIntegral Videography法に基づく裸眼立体視ディスプレイ
  • 水平・垂直ともに視差をもつ光学像を再生するインテグラル立体テレビ
  • 両眼視撮影による臨場感に富んだHigh Quality 3D ハイビジョン
  • 高精細パネル技術とステップバリア方式による多人数での同時観察が可能な3Dディスプレイ

超臨場感コミュニケーションの未来

冒頭でも述べたように、超臨場感コミュニケーションはまったく新しい技術というわけではない。これまで企業や大学などの研究所で蓄積されてきた個々の技術やアイデアをとりまとめることで、映像や音響を主とした五感で体感できる技術として、一般の家庭での利用と普及を実現するための構想である。
 総務省が発表したロードマップによれば、2010年までの創成期では、実物の色の忠実な再現を可能とするナチュラルビジョンや現在のテレビ画質レベルの3次元画像の撮影・表示・流通と、視覚聴覚を超えた五感の認知情報のモデル化・インターフェースが確立される。それに続く2015年までの発展期には、多様な用途に適合する超高臨場感映像音響再現やハイビジョンレベルの高精細な3次元映像の取得・再現・流通が確立されるほか、3次元映像と、五感インターフェースを有するタグやセンサが取得する仕草などの情報を組み合わせて、空間を共有しているかの如く、リアリティのある通信を実現するという。さらに、五感通信に対応した携帯型万能アプライアンスの実現も視野に入っている。
このように、かつてSF映画でみたような、遠く離れたところにいる人物が、手で触れそうなほどリアルな立体映像で浮かび上がり、直接顔を合わせているかのように話ができる通信機器や、実物に限りなく近い画像を見ながら実際に触ったり試着したりして商品を確かめることができる通信販売が、近い将来に実現するのかもしれない。

取材協力 : 超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム、日本SGI株式会社

掲載日:2009年3月 4日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2007年04月04日掲載分

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