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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「UMB」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「UMB」。新幹線で移動しながら、FTTHよりも快適なモバイルブロードバンドを楽しめる、まさに「ウルトラ」な「モバイルブロードバンド」の時代がすぐそこまでやってきました!

1.UMBとは

UMB(Ultra Mobile Broadband)とは、第3世代携帯電話(3G)の仕様を作成している標準化プロジェクト3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)が2007年4月に発表した、移動体向けの次世代通信方式のことだ。現在、KDDI(au)では3.5世代携帯電話(CDMA2000 1xEV-DO Rev.A方式)であるCDMA 1X WIN通信サービスを提供しているが、現在の伝送速度は下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbps。UMBはこのEV-DO Rev.Aをさらに進化させた規格で、20MHzの帯域幅を利用した場合のデータ伝送速度は、なんと下り最大288Mbps、上り最大75Mbpsを実現できる。また、UMBのパケット遅延は16msまで抑えることができ、さらに時速350kmという高速移動しながらでも伝送速度の劣化が少ない仕組みになっている。現在、UMBの商標はCDMA Development Group(CDMA開発グループ、略称CDG)が保有している。

1-1 UMBの革新性を実体験できる!

UMB開発のリーダーシップを取り続けてきたクアルコムでは、UMBの機能と性能を検証するためのプロトタイプをすでに開発済みで、実際にユーザにUMBを体験してもらうためのデモを実施している。残念ながら、場所は日本国内ではなく、クアルコム本社のある米国サンディエゴだ。ここには複数のUMB基地局が設置されており、UMBドライブを体験できる。このデモでは、ワゴン車(実験車両)で高速道路をおよそ100kmで走行しながら、HDTV映像伝送、ビデオ会議、HTTP、FTPによるデータ伝送をすべて同時実行させることができるようになっている。つまり、高速移動しながらインターネットに接続してブロードバンドを楽しめるようになっているので、切れ目なくハンドオフ(基地局を移動中に切り替えること)しながら連続的にデータ通信できる様子を自分の目で実際に確認することができる。

写真1 UMBドライブデモの様子

資料提供:クアルコムジャパン

2.UMB誕生までの道のり

国際電気通信連合(ITU)でIMT-2000という3Gの世界的な標準化の流れが決まり、その要求条件に従って3Gが急速に普及し始めたのは2000年代に入ってからのことだ。IMT-2000規格の1つであるCDMA2000 1xは前述した通りauで採用され、現在はその拡張方式であるEV-DO REV Aまでが商用化されている。図1に示すように、EV-DOは今後もREV Bまでは進化していく技術である。
 第1世代の携帯電話(1G)はアナログ携帯電話として登場したため、2Gでデジタル携帯電話に変わったとき、携帯電話が使う周波数帯はアナログ時代の周波数帯域をそのまま引き継ぐことになった。つまり、デジタルでも従来の狭い周波数帯域を使わなければならないという事情があったのである。その結果、帯域間でのシステム相互の干渉の影響が少ない方式として、干渉に強く通信容量の大きいCDMAが普及した。
 ところが、近年になって、今後の3G利用拡大から4Gへの発展にともない、周波数の需要が高まることが予測されるため、1.7GHz帯、2.5GHz帯を中心に、携帯電話用周波数帯の再編が進められ、携帯電話の周波数割り当て状況が大きく変わってきた。その結果、アナログ携帯電話の時代からずっと引きずってきた狭くて細かく分断されていた帯域を1つにまとめて、5MHz、10MHz、20MHzとして使ってもよいという方向性が打ち出された。このように、新たに携帯電話用として使用できる周波数帯の状況が変化した今、周波数の利用効率を考慮した場合、必ずしもCDMAだけが最適解ではなくなってきたのである。

図1 モバイルブロードバンド技術の進化

資料提供:クアルコムジャパン

そこで、新しく注目を集めるようになったのがOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)/OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)である。OFDMは複数の連続したサブキャリアを用い、マルチパス遅延広がりをキャンセルする特徴を持つとともに、ユーザごとに時分割方式で搬送波を割り当てることができる。OFDMAはOFDMを用い、同時に複数のユーザで搬送波をサブキャリアのグループで分割しながら、各ユーザにとって最も伝送効率のよいサブキャリアを割り当てる。OFDM/OFDMAはCDMAほど干渉に強くないが、MIMOなどの新しいアンテナ技術を使うことで飛躍的に周波数の利用効率を上げることができるようになってきた。つまり、以前実用化が難しいといわれていたOFDM/OFDMAは、デジタル信号技術が格段に進化したことと、使用できる周波数帯域が拡大してきたことで、十分実用に耐え得る優れた技術に成長してきたのである。さらに通信チップの開発コスト面でも、帯域が5MHzを超えるようになると、CDMAよりもOFDM/OFDMAのほうがコストパフォーマンスが高くなるというメリットもある。したがって、広帯域で使う場合には、CDMAよりもOFDM/OFDMAのほうが今後の移動体通信方式には最適だという結論に達し、UMBが誕生した。

2-1 UMBの基本技術

クアルコムは、元々クアルコムが買収したFlarion Technologies社のFLASH-OFDMのコア技術を活かしながら、クアルコムがCDMAで培った技術をこれに加えていくことでUMBの基礎を築き上げていった。ただし現在UMBはクアルコムだけの技術ではない。クアルコムの独自技術に3GPP2に参加している各企業が要素技術を盛り込み、さらに性能改善を進めていった結果が今のUMBである。
 FLASH-OFDMとは、従来のOFDMに改良を加えた技術で、周波数の異なる113本の搬送波を使って送信するデータを細かく分割・直交させながら伝送する。同時に、一定周期で搬送波の周波数を変化させることで、隣接セルでも同一周波数を利用できるようにすることで、周波数の利用効率を高めている。
 UMBが優れたパフォーマンスを発揮できるもう1つの要素として、複数の最新アンテナ技術の採用を挙げることができる。具体的には、MIMO(Multiple Input Multiple Output)、ビームフォーミング、SDMAの3つの技術だ(図2)。まず、UMBのMIMOでは端末と基地局の間で、チャネル情報を常にやりとりしながら、最良のMIMOモードを選択しながら移動端末に追従できるようになっていて、その結果、静止また低速移動中の伝送速度特性に比して、時速350kmの移動中でも速度劣化が少ない。
また、セル端におけるチャネル状態の良くないユーザの送受信特性を改善させるために、端末と基地局の双方に実装されている複数アンテナ間で、伝送速度を最大化できる送信モード(ビーム)を形成するビームフォーミング技術も採用されている。これは前出のMIMOにおいて、送受信チャネル情報から演算を行い、受信機アンテナ間で発生する干渉が最小化されかつ受信機全体の利得が最大になるように、各送信アンテナから送信されるビームを形成するというもの。
 そして、同一セル内の同一チャネルを空間的に分離することで周波数利用効率を高めようという技術がSDMA(Space Division Multiple Access:空間分割多元接続)である。同一セル内に複数ユーザが存在する場合、それぞれのユーザが使用している電波を極めて狭いビーム幅の指向性を持つアンテナで受信できればお互いの通信を妨げることなく各々の通信路を確立することができるが、SDMAはこの考え方をベースに開発された技術だ。UMBでは上記3種類のアンテナ技術を使うことでセクタスループットを向上させている。

図2 MIMO/ビームフォーミング/SDMAのアンテナ技術の採用

資料提供:クアルコムジャパン

3.UMB普及で変わるモバイルスタイル

UMBの実用化に向けた動きとして、すでにクアルコムではUMBの端末用チップMDM8900と基地局用チップCSM8900の製品化を発表している。同社によると、2008年第1四半期と第2四半期にエンジニアリングサンプルが出荷される予定。これを受けて2008年には通信機器メーカーによる基地局装置や端末機器の開発と相互接続試験が活発に行われるようになると見られていて、2009年の商用化が期待されている。
 ただし、UMBは既存のCDMA2000との下位互換性がないことから、UMBのインフラ構築には新たなコストがかかるが、REV BとUMBの両方をサポートするデュアルモードチップが開発されれば、こうした課題もある程度は解決されるはずだ。
 一方、UMBに対するモバイル市場の受け入れ態勢も整いつつある。2008年以降に製品化されるモバイル機器の中には、負荷の重い映像処理も十分こなせるタイプのものが登場すると予測されているが、そうなるとモバイル通信インフラもブロードバンド化していかなければならない。つまり、UMBの登場で固定ブロードバンドの流れとモバイルブロードバンドの流れがようやく同じになる時代がやってくる。そうなると、モバイルユーザでもハイビジョン映像が当たり前になり、携帯電話でハイビジョン撮影できるようになり、モバイルブロードバンドが真のユビキタス社会への扉を開かせてくれるかも知れない。

取材協力 :クアルコムジャパン株式会社

掲載日:2008年11月25日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2008年1月9日掲載分

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