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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「笑顔度測定技術」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「笑顔度測定技術」は、顔を認識する技術の進化形。もっと進んで、人間の「心の窓」ともいえる顔に現れるあらゆる表情を数値化できれば、機械が人の感情を検知できるようになるかもしれません!?

1.笑顔度測定技術とは?

顔を認識する技術は、デジタルカメラや写真用のプリンタなどで、オートフォーカスや顔色の補正などにすでに用いられ、すっかり身近なものになっている。この技術をもう一歩進め、顔の表情、すなわち笑顔を認識する技術が登場してきた。これは2007年の秋以降、人が笑ったタイミングで自動的にシャッターを切るデジタルカメラが複数のメーカーから相次いで発売されたことで、認知度は一気に高まった。ここからさらにもう一歩進んで、笑っているかどうかだけではなく「どれくらい笑っているか」を測定するのが、笑顔度測定技術である。

1-1 オムロンの顔画像センシング技術「OKAO Vision」

図1 笑顔度を測定した結果の例

資料提供:オムロン

リアルタイムで笑顔の度合いを測定する技術を開発したオムロンは、1995年から10年以上に渡って、顔から様々な情報を取得する顔画像センシング技術「OKAO Vision」を開発してきたパイオニアであり、プリンタやデジタルカメラにおける顔認識技術にも豊富な実績を持つ。2007年10月のCEATEC JAPAN 2007では、笑顔度の測定、数値化をリアルタイムで行うデモンストレーションを行い、その精度と速度が注目を集めた。

同社の笑顔度測定技術の特徴は、複数の顔でもほぼ瞬時にそれぞれの笑顔度を0〜100%で測定できる点にある(図1)。1人あたりの顔を測定するのにかかる処理時間はわずか0.044秒というから、1秒あたり20回以上の測定ができ、ビデオの映像でも、遅れは1フレーム強しか発生しない。また、プログラムサイズも46KBと極めてコンパクトなため、組み込み用途としても応用範囲は広そうだ。

※OKAO Vision は、オムロン株式会社の登録商標です。

2.笑顔度測定技術の仕組み

オムロンでは、2次元の画像データから顔を抽出して、さらにその表情を分析するために、3次元の顔モデルをフィッティングする方法を採用している。これにより、顔の角度が撮影位置や被写体の姿勢などで斜めになっているときでも、正確に顔の状態を認識することが可能だ。

図2 3次元顔モデルフィッティング

資料提供:オムロン


3次元顔モデルフィッティングのプロセスは、図2に示すように、まず顔画像から顔の向きを推測し、次にその情報をもとに個人形状へのフィッティング、さらに表情へのフィッティングと、段階的に3次元形状を認識していく。この方法で、顔の向きが左右30度以内、上下15度以内であれば、測定が可能となっている。

図3 フィッティングから笑顔度を分析

資料提供:オムロン

図4 笑顔により変化が現れる部分

資料提供:オムロン

フィッティングの結果に対して、どれくらい笑っているかという「笑顔度」の分析が行われる(図3)。ここでは、図4のように、口角が上がる、目尻が下がる、などの代表的な変化のほか、顔のしわなど顔全体の特徴をとらえて、1万人の顔画像を活用した統計的識別手法により統合的な推論が行われるという。


3.笑顔度測定技術についての疑問を解決!

笑顔度を測定する技術について理解できたところで、いくつか素朴な疑問がわいてくる。個人差は影響しないのか?ヒゲやサングラスでも笑顔度を測定できるのか?ここではそうした疑問を解決していこう。

3-1 事前登録が不要なのはなぜ?

指紋や掌紋、静脈パターンなどを用いた生体認証システムでは、必ず事前の登録が必要である。これは、個人差を使ったシステムである以上当然のことだが、笑顔というのも、各個人の真顔との差異により相対的に認識されるものであるから、事前登録が必要なのではないかと思える。しかし、最新の笑顔度測定技術においては、個人データの事前登録は不要だ。その理由は、顔の一般的な変化を統計的に分析し、笑顔の特徴を一般化しているからである(図5)。具体的には、10度刻みで多方向から同一時刻、同一人物の顔を撮影し、これに基づいて、笑顔における立体的な3次元の顔モデルの変化をデータベース化したものを、処理の基礎データに用いている。人間が直接面識のない人の写真を初めて目にした場合も、その人が笑っているかどうかをおおよそ判断することができるが、笑顔度測定技術においても、ほぼ同様のプロセスで処理しているといえる。

図5 マルチアングルカメラ装置による3次元モデル生成

資料提供:オムロン


3-2 性別、年齢、人種などの個人差は影響しないの?

そこで次に気になるのは、年齢や性別などから生じる個人差にどう対応しているのかだ。オムロンの笑顔度測定では、サンプルとなっている1万人の中に、各年齢はもちろんのこと、世界中の多様な人々を含めているため、笑顔度の測定は世界中どこでも可能だという。特に笑顔は、相対的な表情の変化としては、言語や文化の違いを超えて、ほぼ世界的に共通しているそうだ。

3-3 メガネやヒゲ面でも大丈夫?

それでは、髪型やメガネなどの影響はどうだろうか。笑顔度測定技術が画像を解析して機能する以上、顔がある程度以上見えていることが測定の条件となるのは当然である。特に笑顔の特徴は目や口の周囲に現れるため、長い前髪やマスクなどで顔の1部が完全に隠れている場合はもちろん、目元を隠すサングラスや口元を覆うヒゲなどの物理的な障害物も、測定精度を下げる原因となりうる。また、左右30度、上下15度以内という測定可能範囲を超えて顔が斜めになっている場合にも、測定精度は下がる。精度は下がるものの、悪条件であっても測定そのものは可能である。

4.顔認識技術が切り拓く未来の姿

顔画像のセンシング技術は、人と機械を結ぶインターフェースに、感情の窓ともいえる顔という要素を加えることができる点で、画期的な技術である。2007年時点では、笑顔という1つの表情パターンが大きくクローズアップされて製品化に至ったが、可能性はもっと広範に及ぶものと思われる。

4-1 笑顔はスタート地点

顔を分析するという観点から見て、表情の変化が比較的大きいため測定しやすく、かつ実用化のメリットの明らかな笑顔が、表情認識のスタート地点となったが、今後はさらに細やかな感情の違いや、眠気、疲れ、体調の良し悪し、苛立ちや焦りなど、顔から推測できる様々な情報をコンピュータに伝え、応用していくことが検討されている。具体的な応用対象としては、美容や心理療法、エンタテイメント、自動車などの運転者居眠り検出、臨床医療での容態モニタリングなど、幅広い領域が考えられている。

4-2 より繊細な感情理解に向けて

顔の表情の認識と数値化は、機械がデータを閾値として使う(例えばデジタルカメラで自動的に笑顔でシャッターを切る)という利用方法が、現時点ではもっとも単純で現実的であるのは間違いない。しかし、そこからさらに進んで、感情や体調、気分の状態など複数の要素を総合的に測定することを通じて、人のありようを機械に伝えることは、今後のIT社会がより人に親和性の高いものに進化していくために、必要不可欠な要素となるだろう。ロボットなどの機械が、顔の表情から人の感情や体調などを検知して、それに合わせたきめ細かな反応を返してくれるようになる日も遠くないのかもしれない。

取材協力 :オムロン株式会社

掲載日:2008年11月19日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2007年11月21日掲載分

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