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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
タダで使える多機能PBX!?Asteriskとは?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を早めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマはAsterisk(アスタリスク)。企業活動に不可欠な構内電話システムを構築するIP-PBXアプリケーション。これまでは、通信機メーカーのほとんど独占状態だった通信業界にも、オープン化の波が押し寄せて来ています!

Asteriskの特徴

Asteriskがいま注目を集めている理由として、主に以下の3点が挙げられる。

1.システム全体でのコスト削減が期待できる

無線LANを内蔵した携帯電話1台で、社内ではソフトフォン、社外では携帯電話とシームレスに利用できる

無線LANを内蔵した携帯電話1台で、社内ではソフトフォン、社外では携帯電話とシームレスに利用できる

Asteriskではソフトウェアが無料というのはもちろんだが、さらにハードウェアの面でもコスト削減できる要素を持っている。まず、Linuxプラットフォームで動くAsteriskは、特別なハードウェアを必要としない。最低条件としてPentium III 800MHz程度が必要とされているが、それを満たしていれば、手持ちのサーバにインストールできる。
 また、従来のPBX はメーカーによって仕様が異なるため、電話機もPBXと同じメーカーの製品を選ばなければならなかった。一方Asteriskでは、電話機だけでなく、Asterisk対応のソフトフォン(PC やPDAにインストールして使うソフトウェア形式の電話)も使うことができる。つまり、音声端末の選択肢がぐっと広がるため、ここでもコスト削減が見込める。無線LANを内蔵した携帯電話を使えば、社内ではソフトフォン、社外では携帯電話と、1台の端末でシームレスに使い分けるといったことも考えられる。

さらに、IP-PBXで外線の発着信を行なうためにはインタフェースボードが必要となるが、それもメーカーに縛られることなく安価に入手できる上、ドライバもオープンソースで開発されている。

2.PBXに加えて多彩な機能を実現できる

Asteriskは、ダイヤルイン、保留や転送、短縮ダイヤル、コールバック、通話録音などの、一般的なビジネスフォン機能のみならず、プラスアルファの機能を搭載している。例えば、音声自動応答・ボイスメール・音声会議など、これまではIP-PBXの他にさらに予算をかけなければ導入できなかった機能をも実現できる。

3.オープンソースソフトのため柔軟なシステム構築ができる

Asteriskは、ダイヤルイン、保留や転送、短縮ダイヤル、コールバック、通話録音なソースコードが開示されているため、その改変によって独自に機能を追加したり、既存アプリケーションとの連携が容易なAPIを使ってシステムを構築したりといったことも可能だ。また、AGI(Asterisk Gateway Interface)と呼ばれる外部インタフェースにより、Asteriskから外部プログラムを実行させたり、外部プログラムからAsteriskのダイヤルプランを制御したりするなど、IP-PBXの機能を拡張することができる。こうした機能はPython、PHP、Perlなどの一般的なスクリプト言語でAGIをプログラミングすることで実現でき、PostgreSQLやMySQLなどのデータベースとの連携も可能となる。

AsteriskでPBXを構築するには

このインタフェースボードで、コンパクトなディストリビューションAstLinuxが動作する

このインタフェースボードで、コンパクトなディストリビューションAstLinuxが動作する

従来のIP-PBXは、ベンダに一任して導入というのが一般的だったが、Asteriskの場合は自ら構築しなくてはならない。しかし、LinuxサーバにApacheをインストールできる程度の知識を持ち合わせた人なら、AsteriskでPBXを構築することは困難ではないという。  OSからインストールしなければならない場合には、Linux OSとAsteriskをセットにしたディストリビューション「TrixBox」や、ターボリナックス社の「InfiniTalk」(有償)などが利用できる。また、CDドライブやハードディスクを搭載していないコンピュータでの利用を想定した、最低限の実行環境のみで構成した「AstLinux」というディストリビューションも配布されている。
 Asteriskの実行には、上記のインストール後に内線電話のダイヤルプラン設定や利用する電話機や留守録機能、音声会議機能、外線との接続など、様々な設定を行なう必要がある。しかし、IP電話の接続に使われるSIPプロトコルには微妙な違いのある様々な「方言」が存在しているため、機器がSIP対応となっていても必ずしもうまくいかないことがある。他にも、日本で使用できるインタフェースボードが少ないことや、IP電話と接続する場合にもAsteriskへの接続を正式にサポートしているISP(インターネットサービスプロバイダ)が少ないことなど、課題はまだ残されている。
 Asteriskを使いたくても社内の知識や技術にまったく自信がないという場合には、最近日本でも登場しはじめている構築サービスを利用することもできる。

Asteriskの脅威?

開発者である米ディジウム社社長のマーク・スペンサー氏が、自社でPBXの導入を検討したところ、あまりにもシステムが高額だったため、自ら開発しようと考えたところから、Asteriskの開発が始まったという。これは、小規模な事業者にとってPBXシステムにかかるコストがいかに大きな負担となっているかを如実に示すエピソードといえる。それだけに、Asteriskのように高機能を実現してしまうオープンソースの登場による衝撃は大きく、通信業界にとっては脅威ともいえる。
 しかし、オープンソースであるAsteriskは、実際の利用には技術力が必要とされるため、新しいビジネスの可能性を秘めてもいる。例えば、Asteriskを使ったシステムの構築や、関連アプリケーションとAsteriskを組み合わせてのディストリビューション、日本の通信環境でも使いやすいようにカスタマイズしたり、環境に適合したハードウェアやアプライアンスを提供したりするローカライゼーションなど、技術者の活躍の場は多数あり、既に動き始めているベンダもある。
 こうしたことを背景に、発展途上国の通信業者が、低コストのAsteriskに注目し、活用を始めているという報告もある。さらに、欧米の電話端末ベンダの中には自社製品がAsteriskにも対応しているということを積極的に公表し始めたところもあり、それだけAsteriskは無視できない存在になっているといえる。

Asteriskの利用イメージ

日本ではまだあまり知名度が高いとはいえないAsteriskだが、PBXプラットフォームに代わるものとして徐々に広がりを見せている。日本でAsteriskを導入して成功している例として、ホテルのソリューションがある。ホテルの個室にインターネット環境が整っているのはもはや珍しくないが、内線電話もIP化すれば、内線電話だけを別に敷設する必要がない。
 もちろん、Asteriskが使えるのは企業向けのPBXだけではない。SOHO向けソリューションとしての可能性が大きいのはいうまでもないが、近い将来、一般家庭でもPBXを導入できるようになるかもしれない。そうすれば、自宅にかかってきた電話を携帯電話に転送したり、自宅の留守番電話に録音されたメッセージを電子メールで送信し、携帯電話で受信したりといった使い方ができる。
 Asteriskの現在の最新バージョンは、2006年10月にリリースされたAsterisk Version1.4 beta3で、まだベータ版の段階にあるが、Google Talkとの連携や各種機能強化など、利用用途の展開が進められており、こうした接続環境の充実により、いっそうの普及が予想される。
 Asteriskは、Linuxをはじめとする他のオープンソースソフト同様、さらに発展していく可能性を秘めている。個人や企業に関わらず、関心のある人が数多く参加することで、ソフトウェアの開発に拍車がかかるだけでなく、それを取り巻くインタフェースの開発も進み、ソリューションサービスの多様化も見込まれる。Linux系の開発者は数が多いが、Asterisk開発には既存のLinux系開発者が参加しやすいため、日本でも、Asteriskがもっと使いやすくなっていく可能性も高い。Asteriskの登場により、PBXのIP化が加速するかもしれない。

取材協力 :『Asterisk(TM)でつくるIP電話システム』著者 高橋 隆雄氏

掲載日:2008年11月19日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2007年1月10日掲載分

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