本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > デジ・ステーション

デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
シリアスゲームってなんだ!?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマは「シリアスゲーム」。クリスマス商戦を前に、いわゆる「次世代ゲーム機」が話題を集めている一方、新しいゲームソフトも次々に発表されています。この競争の激しいゲームの世界で長年に渡って培われてきた優れたインタラクティブ技術を、エンタテイメント以外の様々な問題解決に役立てていこうという取組みが始まっているのです!

シリアスゲームとは

図1 既存のゲームとシリアスゲームの違い

資料提供:SGラボ

シリアスゲームとは、テレビゲームやコンピュータゲームなどのデジタルゲーム開発で培われた表現メディアとしての高度なインタラクティブ技術と優れたデザインセンスを、様々な社会問題を解決していくための教育・コミュニケーションツールとして幅広く役立てていこうという概念のことだ。もっと簡単にいえば、娯楽を目的としないゲームのこと。従来のゲームがもっぱらエンタテイメントを目的として作られてきたのに対し、シリアスゲームは学習、医療、福祉といった社会的問題を解決することを主な目的として開発されている(図1)。ただし、シリアスゲームを厳密に定義することはそう容易ではない。例えば、エンタテイメント目的で開発されたゲームでも、結果的にそれが社会性のある目的に使われたり、教育に活用されたりするケースは既にあり、こうしたゲームも含めて「シリアスゲーム」ととらえられることもある。しかしここでは、社会的な目的を意図して開発されるゲームに焦点を当てる。

■言葉としては新しいがコンセンプトとしては歴史がある
 シリアスゲームという言葉が最初に正式に使われたのは、2004年にアメリカで行われたGame Developers Conference 2004における第1回シリアスゲーム・サミットからといわれている。比較的新しいコンセプトのように聞こえるかもしれないが、実はシリアスゲームのコンセプトはかなり以前から存在していた。例えば、軍事関連の戦争シミュレーション、医療分野における治療シミュレーション、学校教育の学習システムやeラーニングは、シリアスゲームと同様のコンセプトで開発され、20年以上も前から様々な成果が報告されてきた。ただし、これらのツールを「ゲーム」というキーワードで結びつけるコミュニティが存在しなかったために、今までシリアスゲームという1つのカテゴリとして議論・研究されることがなかったのである。
 シリアスゲーム・サミットの主催者であり、シリアスゲームの提唱者でもあるベン・スワイヤ氏は、シリアスゲーム・コミュニティをサポートするための「シリアスゲーム・イニシアティブ(Serious Games Initiative)」を自ら立ち上げ、シリアスゲームの開発や研究を行っている企業や大学に交流の場を提供している。国内では、シリアスゲーム・イニシアティブの支援のもとSerious Games Japanが設立され、同様のコミュニティ活動が進められている。

百聞は一見に如かず、これがシリアスゲームだ!

解説ばかりではなかなかピンとこないと思われるので、早速、実際のシリアスゲームをいくつか紹介しよう。ここでは、SGラボが制作したシリアスゲームのデモゲームを取り上げる(この記事で紹介するゲームを実際に試してみたい方は、直接同社までお問い合わせください)。1つ目は、環境問題をテーマにしたゲームで、リサイクルの識別マークを覚えるための「くるくるリサイクル」。身近なところから環境問題に取り組むためには、資源の適切なリサイクルを促進し、ごみを減らしていくことが重要な課題の1つだ。このシリアスゲームでは、識別マークの意味や、日常生活で不要になったものがどんな資源として生まれ変わるのかという知識を身に付けることができ、子供たちがゲーム感覚で遊びながら、リサイクルというテーマに楽しく向き合えるよう設計されている。不要物がどんなものに再生されるのかという絵合わせゲームをアニメーションで表現することで、プレイの反復性を創出し、ゲームを通じて識別マークとその再生物に対する認識を次第に深めることができるようになっている(図2)。

図2 「くるくるリサイクル」

資料提供:SGラボ

このシリアスゲームの操作方法とルールは以下の通り。

  1. 不要物パネルを見ながら、それに対応した識別マークの弾を選ぶ。
  2. マウスで砲台の向きを変え、該当するパネルに照準を合わせてクリックする。すると砲台から弾が発射される。
  3. 弾の識別マークとパネルが正解だと、リサイクル資源に生まれ変わってパネルが消えていく。中にはリサイクルできない不要物パネルも含まれている。
  4. 残数表示を目安にリサイクル可能な不要物パネルをすべて消していく。残数が0になればゲームクリアとなる。
  5. 弾の識別マークとパネルが一致しない場合、不要物パネルが1つ増え、砲台にひびが入る。パネルがいっぱいになるか、もしくは砲台が壊れてしまった時点で、ゲームオーバーとなる。
食べ物が咀嚼により栄養素に分解される様子をマウスの操作で表現

食べ物が咀嚼により栄養素に分解される様子をマウスの操作で表現

次に紹介するのは、学校の先生の教育支援という観点から開発された「It's show?KA Time!!」。人間の消化の仕組みと、食べ物が体内で変化していく様子を学ぶためのユニークなシリアスゲームだ。これはゲームというよりも、先生が子供たちに消化の流れを教える際の「プレゼンテーションツール」である。選択した食べ物によって構成する栄養素が異なり、それぞれがどの消化器官でどんな形に分解され、どこで吸収されていくのかが、ユーモラスなアニメーションで表現されている(図3)。
 これは自動再生で行う教材ビデオとは異なり、先生が手動でコンテンツを動かしながら授業を進めていくことができる。あえて手動にすることで、先生が自分のペースで進行できるよう配慮された設計になっていて、コンテンツ内に出てくる言葉の意味や消化器官の働きなども分かりやすく解説されている。

図3-B 「It's show?KA Time!!」

資料提供:SGラボ

タイプやキャラクターを選択すると、人間関係を擬似的に体験できる

タイプやキャラクターを選択すると、人間関係を擬似的に体験できる

このほか、RPG(ロールプレイングゲーム)の開発ノウハウが活かされている例として、ニート問題をテーマに取り上げたゲーム「MEET THE NEET」がある。これは、現在の若者を中心に増加しつつある社会問題に対し、ニートと呼ばれる人物の心情あるいはその家族や友人の心情を「ロールプレイング」を通じて理解していこうというもの。プレイヤーは、用意された4タイプからシナリオを1つ選択し、さらに本人も含めた周辺の人々(家族や友人など)からキャラクター1人を選択して、ゲームを進行させていく(図4)。


シリアスゲームの将来性

前項で紹介したシリアスゲームを見て、「既存のeラーニングといったいどこが違うのか?」といった疑問を抱くかも知れない。この疑問が解ければシリアスゲームの持つ優位性、将来性が見えてくるはずだ。そこで、図5を見ていただきたい。

図5 既存のeラーニングとシリアスゲームとの違い

資料提供:SGラボ

既存のeラーニングには、以下のような弱点がある。


  • テキスト中心のコンテンツで学習そのものに対する操作性がなく、単調になりがちで飽きやすい
  • 視覚のみ、あるいは聴覚と視覚のみの刺激となるので、集中力が途切れやすい
  • 読了までに時間がかかり、最終的にすべての内容を覚えているのが困難
  • 重要なこととそうでないことの区別が困難

一方、シリアスゲームでは以下のような学習効果を期待できる。


  • ユーザー操作を要する双方向性があるので既存のeラーニングよりも集中度が高くなる
  • 視覚、聴覚、触覚の組合せでコンテンツ表現が豊かになるので、飽きにくい
  • 個々のユーザーの主体的選択で学習内容やレベルを切り替えられるので、常にユーザーに最適な学習環境を提供できる
  • 作り方によっては反復効果を取り込むことが可能なので、自然な形で知識の定着をはかることができる

インタラクティブ性のある情報端末では、ユーザーは自然にコンテンツを動かしたり触ったりしたくなるものであり、「動かすこと」「触ること」でより効果的な啓発・学習につながっていく。そして、インタラクティブなコンテンツとして最も進化を遂げているのがデジタルゲームであり、そこにシリアスゲームの将来性が潜んでいるのだ。既に海外では、米国陸軍へのリクルーティングを目的とした本格的シューティングゲーム、被災地への食糧支援活動シミュレーション、高齢者介護施設の介護士向けゲーム、消防士訓練用シミュレーションゲームなど、優れたシリアスゲームが次々と登場している。国内でも、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などがヒットする時代になってきたことから、個人ユーザーの間でもシリアスゲームが浸透していく可能性は十分高いといえるだろう。ぜひ今後に期待したい。

取材協力 : 株式会社SGラボ

掲載日:2008年11月19日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2006年12月06日掲載分

検索

このページの先頭へ