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HOME > 製品・技術を開発する > 2030年に向けたビジネスの種

2030年に向けたビジネスの種 −未来の市場にはチャンスがある


ライフスタイル編

ベランダに薬局があります。

都心部のスーパーでは、下痢止めの草、打撲に効く草、あかぎれに効く根などがカプセルに入って棚に並んでいます。ネコアシ、ハコベ、ハックリ。それぞれの種や苗木を数百円で買い、都会のベランダの大きめのプランターで育てます。都市生活者の多くは、日常的な薬は、自家製でまかなうほうが楽しいと思うようになっています。

薬になる苗木が、スーパーで売られている。

薬になる苗木が、スーパーで売られている。

この「くすりガーデン」が流行した背景には、医療費負担の増加と、所得の減少とがありました。朝、会社に行く前に窓を開け、プランターに水を撒く。土日の夜には、必要なものを必要な分だけ収穫し乾燥させて保存しておく。それが面倒な人のために、プランターに無電源で自動で水をやる「水やりロボ」が売れています。

また、都会の子どもたちにとって、プランターとはいえ土いじりしながら暮らすことは、少々の病原菌には負けない抵抗力を持つことにつながっています。

(出典:石田秀輝、古川柳蔵、電通 グランドデザイン・ラボラトリー、「キミが大人になる頃に。―環境も人も豊かにする暮らしのかたち」、日刊工業新聞社、2010)

解説バックキャスティング

失われた「育てる楽しみ」

自分で野菜を育てることと薬を育てることにどれだけの違いがあるでしょうか。かつて日本人が自然と共生する暮らしをしていた時には、その差はほとんどありませんでした。庭で食料だけでなく、薬を育てていました。薬だけでなく、いわゆる現在の日用品である石鹸まで育てていました。石鹸の代わりになるさいかちを植えていたのです。

それが、やがて生活者は日用品や薬や食料を店で購入することができるようになりました。それはある意味素晴らしいことです。ただ、その結果、失われたものもあることに気がつかなければなりません。

それは育てる楽しみです。高齢者に昔の暮らしについて聞くと、このような話を聞くことができます。土のケアや水やり、毎日のように植物に手をかける。これが楽しかったのです。ネコアシ、ハコベ、ハックリ。いろいろなものに手をかけて、それに反応するように育っていく様子を見るのが楽しかったのです。

自然と共生していた暮らしは、物質循環と心の豊かさが共存していました。暮らしの中で、地産地消は基本であり、その中で心の豊かさを求め続けていたのです。薬を育て楽しみながら、環境負荷を与えずにそこで使用するので、資源が循環していました。

その状態から、もし、薬で治す機能のみに着目し、誰かが環境負荷を与えながらその機能という薬を販売することになれば、より高環境負荷になり、楽しみも失われていくのです。一つの機能の利便性のみを追求すると、ライフスタイル全体のバランスが崩れることがあるのです。かつての暮らしかたが自然と共生する持続可能な暮らしかただったことを意識する時期が来ているのだと思います。

この薬を育てるというライフスタイルは、物質循環と心の豊かさの両立を目指すものとして描かれました。最後に水やりロボットが登場します。このロボットは無電源と書かれてありますが、化石由来の資源で生産されたものだと結局意味がありません。そのロボットがどのようなものになるか、これが大事なポイントです。この課題は私たちが蓄積した科学技術で乗り越えるべき山だと思います。資源循環と心の豊かさを兼ね備えたロボットをイメージしてみて下さい。

掲載日:2012年10月17日


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