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HOME > 製品・技術を開発する > 2030年に向けたビジネスの種

2030年に向けたビジネスの種 −未来の市場にはチャンスがある

バックキャスティングでいこう(2/2)

経済・環境・人のことを考えたライフスタイルを描く 古川柳蔵(ふるかわ・りゅうぞう)東北大学大学院環境科学研究科准教授

心豊かな暮らしを描く

図 1に示すように、ライフスタイル・デザインは、第1ステップとして、まずは、将来の環境制約条件を設定します。例えば、環境制約が厳しくなる2030年の日本の人口、エネルギー、資源、地球温暖化、水資源、食料、生物多様性に関して信頼の置ける国のデータ等を用いて定量的に理解するのです。

図1:バックキャスティングの思考手順

第2ステップとして、この環境制約条件のもと社会状況を描きます。例えば、ガソリン代が3倍以上に高騰するのであれば、自動車を使う人が減り、道路がすいてくる、あるいは、車線が余ってしまうかもしれない、という社会状況を想像するのです。

第 3ステップでは、2030年の社会状況から見て、現在のままでは発生してしまうであろう問題を見つけ出すのです。これは将来から現在を逆に見つめており、まさにバックキャスティングと言える部分です。そして、もう一度、2030年に自分を置きなおし、発見した問題を解決するソリューションを見つけるのです。

最後に、取り上げた問題と、そのソリューションを含んだ心豊かなライフスタイルを描きます。

ライフスタイル提案型の新ビジネス

そして、ここで描いたライフスタイルの構造とその社会受容性の分析を行いました。ライフスタイルの社会受容性を測定すると、高いものでは、70%以上の人がこの新しいライフスタイルに変わりたいと回答しています。現在のライフスタイルとは大きく違うものであるにもかかわらず、受け入れられるものが多いことが分かりました。自分で新しいライフスタイルを思いつき、それに変えていくということは難しいのですが、こんなライフスタイルもあるよ、というように提示されれば、受容してもいいよと思う人がいるということです。

そして、これらに関して、社会科学的手法を用いて分析を進めると、生活者がライフスタイルに求める要素はシンプルであるということが見えてきました。利便性、自然、楽しみ、自分成長、社会とのつながり、貢献、主流性をライフスタイルに求めているということがわかってきました。ここで明らかになってきたのは、環境制約が厳しくなったとしても、これらの生活者がライフスタイルに求める要素が含まれていれば、心豊かな暮らしが実現するということです。楽しみなどその他の心の豊かさを付与することができれば、現在の価値観でも受け入れられるものがあるということです。

さらに、ここまで描いてきたライフスタイルを実現するために必要なテクノロジー、商品、サービス、あるいは新ビジネスシステムが現実のものになろうとしています。既に、そのいくつかは世の中に登場しようとしています。まさに、ライフスタイル提案型の新ビジネスです。

本コーナーでは、一つは電通グランドデザイン・ラボラトリーと共同で描いたライフスタイル、もう一つはコクヨ(株)RDIセンターと共同で描いたワークスタイルを用いて、新規なライフスタイルやワークスタイルを紹介し、バックキャスティングとは何か、そして、バックキャスティングを繰り返してきて発見した気づきについてご紹介したいと思います。また、そこから展開されている新テクノロジーや新ビジネス事例についてもご紹介いたします。

参考資料:
Amory Lovins. Energy strategy,The road not taken? Foreign Affairs, Vol. 55,63–96, 1976.
Amory Lovins. “Soft Energy Paths: toward a durable peace”. Friends of the Earth/Ballinger Publishing Company, Cambridge MA, 1977.
KH Dreborg. Essence of backcasting. Futures, Vol. 28, 813–828, 1996.

古川柳蔵(ふるかわ・りゅうぞう)

古川柳蔵(ふるかわ・りゅうぞう)
東北大学大学院環境科学研究科准教授。博士(学術)。
1972 年生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了後、民間シンクタンクを経て、2005年に東京大学大学院にて博士号取得。同年より現職。専門は環境イノベーション。近年はライフスタイル・デザイン、ソリューション創出、ネイチャー・テクノロジー創出手法など、環境イノベーション促進手法の研究とその実践に力を入れる。環境ビジネスを実践するNPO法人サステナブル・ソリューションズ理事。著書に『地球が教える奇跡の技術』(祥伝社 2010)、『環境制約下のイノベーション― 力を持ち始めた環境ニーズ― 』(東北大学出版会 2010)、『キミが大人になる頃に。』(日刊工業新聞社 2010)、『90歳ヒアリングのすすめ』(日経BP社 2011)など。

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