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03 それいけ!ベンチャーファンド

第1回:なるほど!ベンチャーファンド

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ご覧になりましたか? 動画で見る企業事例「インターネット限定公開ムービー」。7年という短期間で東証マザーズに上場したディップ株式会社。その成功のポイントはベンチャーファンドの活用にありました。とはいっても、このベンチャーファンド、「中小機構が民間機関とともにつくった」ものであって、中小機構がベンチャー企業へ投資を行っているわけではありません。となると、ではいったい中小機構はどんな支援をしているの? 今回は、中小機構の支援の一つファンド出資事業について紹介いたします。

※本コンテンツは、平成17年度の情報です。

資金制度いろいろ

ところで、中小機構はどんな支援をしているの?という疑問の前に、そもそも「ファンドとは何か」ということが気になります。それについては、資金制度の種類についての整理から話をはじめましょう。

ひとつの整理の仕方は、「もらえるお金」と「借りるお金」というもの。「補助金」や「助成金」と名のつくものは、「もらえるお金」で、原則として返さなくてもよいもの。

そして、「借りるお金」。これが、「融資」と呼ばれるものなどで、銀行などから借りるお金のことです。で、借りた以上、当然返さなくてはいけないわけで基本的には、利子を払いつつ、借りた資金は期限がやってきたらそっくり返します。

となると、返す必要のない「補助金」や「助成金」が一番いいんじゃないの?といういと、そこもちょっと違ったりする。というのも、「補助金」や「助成金」は、「ある一定の成果を上げることを目的にして交付されるお金」なので、たとえば、研究開発や技術開発、地域における新規産業の創造なんかに出されるのです。となると、運転資金や設備の導入、はては新しく事業をはじめるなどとなると用途が違うわけです。で、それには、それにふさわしい制度があって、この場合適当なのは「融資」などということになる。

要は、「目的に合った資金制度を活用する」ということが大事なわけですが、「融資」となると、みなさんもご存知のとおり、融資の期間、金額等に制限があったり、土地など担保がとれる場合や連帯保証人があるほうが借りやすいということがある。

でも、これじゃ「新しく事業をはじめて、お金が結構必要なんだけれど、融資だと担保などないし、実績もないしお金借りるのは難しい」ということになってしまいます。

で、ここで、ファンドの出番なのです。

ファンドの仕組み

先に、「もらえるお金」と「借りるお金」という整理の仕方を紹介しましたが、実は、ファンドはどちらにも当てはまらない。そもそも、その点では、ファンドは補助金や融資などとはまったく異なる支援制度なのです。中小機構では、現在、新規事業者向けのファンドへの出資に積極的に取り組んでいるのですが(その名も「ベンチャーファンド(*)」)、ファンドの仕組みはこちら。

図1 基本スキーム図
図1 ファンド活用の基本スキーム図

ファンドとは「基金」のこと。つまり、いろんなところからお金が集められてファンドが組成されています。企業はこのファンドからお金を投資してもらい、そのお金で会社を成長させる。そしてその企業が株式公開した場合、ファンドは持っている株式を売って利益を得るというのが基本的な仕組みです。

さて、ここでいう投資というのは、主には、会社が発行する株を買う(株式取得)ことによって、お金が会社に渡されることを言います。ですから、ファンドは株主になるわけです。ということは、ここにベンチャー企業Aがあったとして、ベンチャー企業Aの株を買った人たちは、株主という点では同じなわけです。

さて、ファンドはベンチャー企業Aの株を買っていると言いましたが、その株はすぐには売れない株です。なぜならば、株式市場という「市場」で売れるには、まだまだ形も整っていないからです。では、なぜすぐには売れない株でも買うのか。それは将来的には、ベンチャー企業Aが成長発展する可能性を見込んでいるから。言うなれば、ファンドは将来のベンチャー企業Aの企業価値を「株」という形で買っているのです。このことを株式公開まであわせて考えるとこんな形になるでしょうか。

図2 ファンドによる投資の構造
図2 ファンドによる投資の構造

これって、何かに似ていますよね…

図3 企業活動の基本構造
図3 企業活動の基本構造

そうです。会社が商品開発を行って、その商品を売って利益を得て、会社を成長させていく…という図式と同じ。こうして見ると、ファンドの活用というのは、企業活動の自然な形なんだということがわかります。つまり、ファンドを活用するということは、市場で売れるような商品開発をするように、ファンドを組成している人たちと一緒に、株式市場という市場で売れるように会社の企業価値を高めていくことなんです。

適した資金制度の見つけ方

ところで、さきほど、「自分の目的に合った資金制度を活用する」と言いましたが、資金制度が複雑で、そもそも「自分の目的に合った資金制度」が何なのかわからないということが問題なんだということがあります。で、そんな方のためのサービスもあります。

一つは、「支援センター」を活用する方法。

「中小企業・ベンチャー総合支援センター(*)」は、"ベンチャー"と冠しているだけあって、ベンチャー支援に特に力を入れていますが、もちろん、「各都道府県等中小企業支援センター(新規ウィンドウ)」、「地域中小企業支援センター(新規ウィンドウ)」でも相談を受けつけています。

センターによせられる相談は資金調達に関するものが多く、提供している情報も豊富。また、補助金の申請や、融資を申し込む際に提出する書類を見たり、ビジネスプランのブラッシュアップを行ったりなどもいたします。

また、中小企業庁のサイトにあるWEB版「中小企業施策利用ガイドブック(新規ウィンドウ)」もおススメです。かなりの優れもので、自分のニーズにあった項目を選んでいくと、適した制度がでてきます。

そのほか、利用できる公的資金がWEB上で簡単に検索できる「資金調達ナビ(*)」(J-Net21)や、資金の相談でしたら、センターの窓口相談だけでなく、電子メールで相談ができる「メール経営相談(新規ウィンドウ)(*)」や、電話で経営の相談ができる「経営相談ホットライン(新規ウィンドウ)(*)」(いずれも、中小企業・ベンチャー総合支援センター)といったサービスもありますので、是非、ご活用を。

将来への可能性をひきだすファンド

さて、ベンチャーファンドの話に戻りましょう。繰り返しになりますが、ベンチャーファンドの対象者は、

新しく事業をはじめたばかりで…など、事業でお金が結構必要なんだけれど、融資だと担保などがないし、事業の実績もないからお金借りるのは難しいんだよね

という人向けのもの。

このことからもわかるのは、融資は、担保や事業の実績など「現状」に対して評価が行われる。それは、貸したお金が短い期間で回収できることが大事だからです。

でもこれだと、事業の新規性においても今後の可能性においても、スゴイ展望があったとしても、資金調達の時点で事業拡大の門戸が閉ざされてしまいます。それじゃ、ある一企業の可能性をひきだせなかったというだけでなく、日本で今後新たな事業が発展する可能性をも減少させることになってしまいます。

だから、企業の「将来」について評価し、将来における可能性をひきだすファンドによる支援というのは、これからでてくる新しい企業を育てる、ひいては日本の企業の基盤を育てていくという長期的展望を視野に入れた支援といえるのです。

さて、将来への門戸を広げてくれるファンドなのですが、とはいっても「リスクが高い」というイメージがあって、なんとなく敬遠される方がいるのも事実。で、確かにリスクはあるんだけれども、これについては、「リスク」という言葉だけが一人歩きしている感じもします。ということで、ここでひとまずその「リスク」とやらについて考えておきたいと思います。

ファンドで言うリスクとは?

ファンドに関するリスクとはいっても、おそらくさまざまな話があって、一つはお金を提供する側にとってのリスクというのがある。それは、提供したお金がちゃんと返ってくるかどうか、ちゃんと利益がでるかどうかわからない。もしかしたら、返ってこないかもしれない、損をするかもしれないという不確実性に対するリスクです。で、例えば融資なら、そのリスクを回避するために担保を要求し、不確実な要素を少しでも埋めようとするわけです。

でも、ファンドは、企業の「将来性」に投資をする。誰も将来のことまで確実に予想はできないから、どうしても不確実な部分が大きくなる。この意味で、お金を提供する側にとってリスクが高いというのです。

で、当然、このリスクを減少させるために、投資を受ける(受けようとする)企業に要求されることがある。一つは、株式公開ができる企業であるかどうか、事業の評価や経営者の人物評価などの審査がかなり厳しく行われるということ。また、投資を受けることが決まったのちは、株式公開への確実性をより高めなければいけない以上、それに向けた経営者としての義務や責任も大きくなっていくということです。

でも、ここで「やっぱり大変なんだ。」といって身構える必要もありません。大事なことは、ファンドを活用して株式公開を目標にするとき、具体的にどんなことがおこるのかを知っておくこと。そしてそれを知ることで、ファンド活用が、自分の思い描く会社の将来像へと近づく手段として、本当に適しているかどうかを見極めることでしょうか。

で、こんなところで何ですが、このつづきは次週ということで。それでは、また来週〜。

 

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