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03 それいけ!ベンチャーファンド

第3回:ココが知りたい!ファンドのあれこれ

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平成10年の中小ベンチャーファンド法(現・ファンド法)の制定から7年。この間、新興市場の創設をはじめ、ベンチャー企業を取り巻く環境は、着実に整備されてきました。その環境の変化について、中小機構の取り組みを交えながら追い、同時にファンド活用のメリット、どんな分野の事業だと活用できるの?といった疑問から、ハンズオン支援の内容まで、それこそ、ファンド活用のあれこれについて、ご紹介いたします。

※本コンテンツは、平成17年度の情報です。

中小機構の支援、もう一つのポイント

ファンドを運営する無限責任組合員は、企業に投資するだけでなく、つまりお金の支援だけでなく企業が成長するためのいろんな支援をしますよね。有限責任組合員は、そういったものをチェックするんですよ。ちゃんと、ファンドの運営がなされているか、ちゃんと支援がなされているかというのをね。

ほぉ。

ベンチャーファンド出資事業は、平成10年11月に施行された「中小ベンチャーファンド法」(正式名称:中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律)をうけ、平成11年3月に、中小機構(当時:中小企業事業団)における制度が発足し、第1号ファンドが組成されました。平成17年度10月現在で、組成されたファンドの数は56になりました。

機構での事業がはじまって7年目ですか。最初のころと比べて、何か変化というのはあるんですか?

増えたのはファンドの数だけではなくて、投資先企業は1100件を超え、そうしたこと等により、ベンチャーファンド事業運営のためのノウハウの蓄積が図られてきました。具体的には、先ほどお話した、ファンドの適正運営のためのチェックの役割ということなんですけどね。やはり、それぞれの企業、一つとして同じ支援になることはないんです。でも、1100件を超えるということは、それだけ事例を知っているということですよね。ノウハウも蓄積されるんです。ノウハウがある分だけいろんなケースについても対応ができるようになってきます。はじめは、お互いに手探りでやっていたことでも、次第に投資会社の支援に対するチェックやアドバイスも的確にできるようになってくるんです。そこが、一つの大きな変化です。

中小機構はファンドに出資する。投資会社はそのファンドを運営して企業への支援を行う。でもそれだけで終わるんじゃなくて、中小機構は投資会社の支援の仕方などをチェックしていると…
 こうしたことを通じてファンド活用のスキーム全体をより充実させることにつながっているわけですね。

ほかには、これも大きな変化なのですが、中小機構のなかの他事業との連携の効果も現れてきているんです。例えば、支援センター(*)の利用者やインキュベーション施設の入居者などがファンドから投資を受け、会社を成長させているという事例も多く見られるようになってきました。

なるほど、中小機構は資金調達の一手段の基盤を整備し、下支えしているというだけではないんですね。
 例えば、(1)創業したいんだけれど・・・と支援センターに相談に行く。(2)インキュベーション施設(*)を紹介してもらう。入居して、(3)開発をすすめるのにお金が必要になる。(4)資金調達手段として、ファンドの活用を紹介される、といったように、さまざまなケースや事業の段階に合わせて支援メニューが提供できるのも、中小機構の他事業間で連携がとれているからなんですね。
 なるほど。スゴイですね。いやー。これでやっとナゾがとけました。今日は本当にありがとうございました。じゃっ!!(ぴゅー)

あのーナゾって…(何だったのかなぁ…)

ベンチャー企業を取り巻く環境の変化

近年、ネットバブルが過ぎ去り、本格的なベンチャーの時代が到来していると言われています。それについては、たしかに株式公開する企業の傾向を見ると、大きな変化がおきています。従来は株式公開というのは、創業15年以上の会社が行うことが主流でしたが、2000年以降、設立5年未満で株式公開する企業が増えてきているのです。

つまり、ベンチャー企業が設立後短期間で上場し、業務を拡大していくことができる環境が整ってきているわけですが、大きな契機となったのは、1998年、証券取引法の改正以降あいついだ新興市場の創設でした。JASDAQ(新規ウィンドウ)、東証マザーズ、ヘラクレスなどの新興市場により、株式公開できる企業の数も幅も増えました。

が、もちろん、市場ができただけでは環境が整ったとは言えません。ファンドの種類、数などが豊富でなければなりませんし、活用のしやすさも大事です。そして、いろんな資源が不足している創業間もない企業だけでは、短期間で公開にこぎつけるのは難しいわけですから、投資会社などによるハンズオン支援の充実も環境整備の大きなポイントになっています。

で、なぜ、第2回でも述べたように企業としての義務や責任も大きくなって、大変なこともけっこうあるにもかかわらず、多くの企業が株式公開を目指すのか。それは、公開したときのメリット(*)が大きいからにほかなりません。まず、会社の価値が上がります。会社の信頼が高まります。信頼があるので、資金調達がしやすくなります。また売り上げが伸びるのは当然のこと、取引先も増えます。そして、信頼のある会社には優秀な人材も集まるようになるのです。

ファンドを活用できる事業分野とは?

そんなことは言っても、ベンチャー企業で株式公開を目指すのは、IT分野だけでしょ?とお思いの方。そんなことはありません。たしかに、一時期ITバブルがありましたし、事実、IT分野は多いのですが、中小機構のサイトにあるベンチャー支援に関する資料「平成16年度 ベンチャーファンド出資事業に係るフォローアップ調査(成功事例集)」や、「公開先一覧(新規ウィンドウ)」を見ると、バイオ関連、製造業、金融や不動産業、そのほかのサービスでも、かなりの数の企業がベンチャーファンドを活用していることがわかります。

このように、どんな産業であってもファンドを活用できないということはない。ベンチャーファンドを活用し、株式公開を遂げた企業の事例(*)なども掲載されていますから、是非ご覧ください。

大事な大事なお金の話

さて、第1回の冒頭で紹介した「企業未来チャレンジ21 2005年春バージョンvol.1(*)

ベンチャーファンドを活用して株式公開を遂げたディップ株式会社の例を紹介しながら、志垣太郎氏も言っておりました。「夢やアイデアを実現」するには「お金」が必要だ、と。

でも実は単にお金があるだけでも難しい。お金に関して言えば、ある程度の期間にわたって資金援助が得られるということと、お金についての計画がたてられるということが必要になるのです。で、ファンド活用の一つの大きなメリットは、長期にわたって支援が受けられるということ。また、お金についての計画となると、経営に関してはまったくやったことがないという人が多いようですが、この資本政策のアドバイスも受けられる。ちなみに、支援を受けられる期間(ファンドの運営期間)ですが、これはファンドによって異なりますが、だいたい8から10年程度。受けられる投資額は、これもファンドや分野などによって大幅に異なるのですが数千万円〜数億円という金額になります。

ちなみに、投資額は事業規模によって決まるもの。その事業を行うのに適正だと判断された額が投資されるのです。だから、例えば、バイオなどの分野などは、研究開発も含まれるので多額になったりするわけで、すべての事業に数億円もの投資がされる可能性があるわけではありません。この点には、十分注意してください。

また、金額については、あくまでも目安として提示したまで。投資金額のことが先にあるというのは、本末転倒。まず、事業内容ありき、です。事業計画をきちんとたてた上で、それを実現するのにいくらお金がかかるのかと考えるのが筋。この点をきちんと理解した上で活用するようにしてください。

そして、もちろん、お金だけがあっても株式公開まではほど遠い。第2回でも触れましたが、ファンドを運営する投資会社が、パートナーとして公開までのお手伝いをする育成型支援(ハンズオン支援)が、どんな内容なのかを知って、ファンドを選ぶことも重要ですから、これについてもう少し詳しく見てみましょう。

ハンズオン支援とは?

「夢やアイデアを実現するにはお金が必要」。でも、アイデアや技術だけでも事業は成り立ちません。そこは、売れなければいけませんし、売らなければいけません。すなわち販売や営業が必要になるのですが、ハンズオン支援のなかには、取引先や販売先の紹介というのもあります。

で、この場合ですが、ファンドを運営する投資会社が、特定分野の技術について詳しいかどうかも重要になります。なぜなら、技術を理解できなければ、事業計画の策定などだけでなく、取引先の紹介もできない、つまり将来の市場における技術の評価ができないからです。だから、単に支援を期待するだけではなくて、ファンドを選ぶ際には、投資会社が特定分野の技術に詳しいかどうか、評価できる体制が整っているかどうかという点を事前に確認しておくことも大事です。

また、とかく資源が足りない創業したての企業では人材不足は当たり前。例えば大学発ベンチャーだったら、技術についての人材に事欠かなかったとしても、経営に関しては人脈すらないということもあり得ます。こんなときには、経営陣(取締役)の派遣なども行われますし、特定分野の人材の紹介も行われます。

しかし、ここで忘れてはいけないことが一つ。それは、確かに、取引先の紹介や人材紹介といった支援は行われるけれど、それは、株式公開に向けた総合的な支援の一環であって、投資会社は、取引先との提携を専門に行う会社ではないし、人材派遣業を営んでいるわけでもない。あくまでも全体のなかで、不足している部分の支援をするのが投資会社の役割です。だから、取引先紹介だけ、人材紹介だけの支援を期待するというのは目的が違うということ。ここはハンズオン支援を受ける側として重要なところとなります。

サポートいろいろ

さて、そのほかにもいろんな支援はあるのですが、実は一番支援の柱となっているのは、何かあったとき、すぐ相談できる相談先があるという、心強さなのかもしれません。自分の判断はひとりよがりではないのか、間違った方向に舵を切ろうとしていないか。経営者であれば、責任も大きいですし、こうしたことが気になるのはなおさらのこと。もちろん、投資会社の支援に依存してすべての判断を仰ぐようになっては困りものですが、些細なようなことであっても意見を求めることができるというのは、本当に心強いようです。

その点では、相談先として、投資会社のハンズオン支援を受けながら、「中小企業・ベンチャー総合支援センター」の窓口相談(*)や、専門家派遣制度(*)を活用することもできます。同時に多様な支援を活用できるのもベンチャーファンドの魅力の一つなんです。

で、今まで見てきたようにベンチャーファンドの魅力というのは、いろいろあるのですが、まとめるならば

・成長の段階に応じた、しかも、総合的な支援が受けられる

といったところでしょうか。

そして、これが実現できるのは中小機構の支援基盤が安定しているからなんですね。

さて、次回は、ベンチャーファンドを運営し、数多くの会社を株式公開させた実績をもつ投資会社に、実際現場ではどんな支援が行われているのかについて聞いてきたので、そのお話をしたいと思います。お楽しみに。

 

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 それいけ!ベンチャーファンド

【第1回】なるほど!ベンチャーファンド

【第2回】これだけは知っておきたい!活用の心構え

【第3回】ココが知りたい!ファンドのあれこれ

【第4回】投資会社に聞く!支援の現場では