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03 それいけ!ベンチャーファンド

第2回:これだけは知っておきたい!活用の心構え

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ベンチャーファンドを活用して、株式公開を目指す! でも、株式公開までが大変そう。それに、ハンズオン支援って何? 今回は、「これだけは知っておきたい、ファンド活用の心構え」。株式公開を目指す場合にどのようなことがおこるのか?これを知っておけば、心構えもできて万全です。また、自らが企業に投資を行っているわけではない中小機構。どんな支援をしているの?という疑問についても、担当課に直接インタビューしてきました。

※本コンテンツは、平成17年度の情報です。

公開に向けたレッスン

さて、第1回では、ファンドの活用には、「ファンドを活用して株式公開を目標にするとき、具体的にどんなことがおこるのか」を知っておくこと。そして、「それを知ることで、ファンド活用が、自分の思い描く会社の将来像へと近づく手段として、本当に適しているかどうかを見極めること」が大事だというお話をしました。

株式公開を目標にする場合におこること。一つは、株式公開するためには、それなりの事業形態や組織の形をつくらなければならないので、それにともなう作業がけっこう煩雑だったり大変だったりする場合があるということ。

そうだなあ、たとえていうなれば、あの、オードリー・ヘプバーン主演の映画「マイ・フェア・レディ」みたいなものかなぁ。あの映画で、ヘプバーン演じる花売りの少女イライザは、音声学のヒギンズ教授の指導のもと、社交界の喋り方やマナーを徹底的に指導されます。

つまり、社交界で認められるには、身のこなしもそれっぽく、また、それなりの会話ができるような教養も身に付けなければいけないってことですが、株式公開を目標にした場合も、そういう「レッスン」に該当するようなことが多々必要になる。ちなみに、ファンドを運営する投資会社も、ヒギンズ教授のように、企業と一丸となって、目標(株式公開)に向かって取り組みます。

大事なパートナー

加えてもう一つ。第1回で、ファンドを活用し株式公開を目指すというのは、ファンドを組成している人々(株主)と一緒に、企業価値を高めていくことなんだというお話をしました。

つまり、投資会社は、株式公開に向けたパートナーなんであり、だからこそ「企業と一丸となって取り組む」のです。

 そして、この企業価値を高めていく「育成型支援」のことを「ハンズオン支援」といいます。具体的にはどんな支援があるかといいますと、「経営に必要な人材を紹介したり派遣する」「取引先を紹介する」「事業計画を作るのを支援する」などです。

で、問題は「一緒に…」のところ。「一緒に」と言っても「どう一緒に…」なのかが、ひっかかる。

たとえ、いい友達であっても、つっこまれたくないところもある。他方、一緒にとはいえ、すべてにおいておんぶにだっこでは、それはパートナーとはいえない。

で、基本的に投資会社によるハンズオン支援というのは、企業の状況や、成長段階に合わせて、必要な支援を行うというもの。だから、「期待していた支援内容とは異なる」といったことも起こりうるし、時には、耳の痛い意見を述べられることもある。しかしながら、それは、企業の成長にとっては不可欠なこと。耳の痛い話であっても、耳を傾けることが必要です。

また、支援をしてもらえるといっても、あくまでも企業が主役です。ですから、積極的に、また、主体的に取り組むという姿勢が必要です。

そして、どんな場合でも重要なことは、投資会社というパートナーと一つの目標に向かう以上、最終目的に向かって、時機に応じて目的と手段についてすりあわせる必要があり、また、すりあわせていけるだけの信頼関係が必要だということ。パートナーであり、「一緒に」取り組むということは、ファンドの活用も、企業と投資会社のひとつの連携の形だということなんです。

だからこそ、「連携」するためには、まず自分が「何をしたいのか」を明確にする。そして、「何が不足しているのか」を自己分析し、足りない部分を補いながら株式公開にふさわしい企業になれるよう、粘り強く話し合っていく覚悟をすることが大事になるんだろうと思うのです。

公開会社の義務と責任

たしかに、ファンドを活用し、株式公開を目指すとなると、大変なこともあります。先に述べた「レッスン」の一つが、文書類の作成で、これを作成するために事務作業が膨大になるということがあります。また、「パートナーと連携して」と言っても、あれやこれやと言われると煩わしいというのも本音。そして実際、株式公開した場合、買占めなどで株券を多く保有した株主によって、会社の支配権を失う可能性があるというリスクもないわけではない。

でも、それも、株式公開する以上、企業として問われる義務と責任が大きくなるから起きる事態。

公開に向けては、その企業がきちんとした企業かどうか、まわりに対して明らかにする義務が生じます。投資してもらう以上、お金をどのように使ったか、ちゃんと利益が出るような堅実な経営をしているかどうかについて、投資してくれた人たちに説明しなければいけません。

例えば事務作業が増えるのは、こうしたことを明らかにするための文書の作成が増えるからなんです。また、まわりからいろいろと言われるのも、その企業の動向を多くの人が注視するから。

でも、弟から頼られるから、兄はしっかりしてくる、見られているという意識があるから綺麗になる、というのと似たようなもので、まわりから注視される、関心を向けられることによって、「社会の公器」としての自覚がより促されるという効用があります。

だから、こうしたことを大変と感じるか、デメリットと感じるかは、会社の義務と責任をどう考えるか次第、ということかとも思います。

資金支援課に聞いてみました!

ところで、この辺でファンド活用において気をつけること…については一息おいて、そもそもの疑問であった「中小機構はどんな支援をしているのか」に話を少しずつすすめて見ましょう。

で、本邦2度目(?)の公開。ファンド事業は、ここ「新事業支援部 資金支援課」で行われています。

 ちょっと、お話をうかがってきましょう。

 お忙しいところ、すみません。ファンドについておうかがいしたいんですけど、よろしいですか?

「はい、どうぞ。こちらで、お話をうかがいましょう」

あのー。サイトに掲載されているベンチャーファンドの「出資先一覧」を見たんですけれど、ファンドによって、それぞれ特徴が異なるんですね。

「そうですね。たしかに、各ファンドで特徴はそれぞれありますが、おおきく4つ「地域密着型」「業種特定型」「大学連携型」「汎用型」に分けられるんですよ。現在組成済みのファンドの数は全部で56ありまして、「汎用型」が19、「地域密着型」が18、「業種特定型」が10、「大学連携型」が9と、数から言えば、やはり「汎用型」が一番多いのですが、最近では、「地域密着型」「大学連携型」などにも力を置いています」

図1 ファンドの総数と総額(平成17年10月末の組成状況)
図1 ファンドの総数と総額(平成17年10月末の組成状況)

(「地域」という言葉に即座に反応) 地域密着型のファンドですか…やはり、ファンドの活用は東京が多数を占めるんですか?地方出身者の私としては、地域密着型のファンドの普及にすごく期待するんですけど…

「現状では、やはり東京が過半数を占めていますね、次に近畿、東京を除いた関東の順です。
 ただし、最近、東北や九州で、地域密着型のファンドをご活用いただいて、株式公開した会社がでてきています。
 それまでは、どうしても地域では、投資会社も少なくて、ファンドに対する認知も定着していなかったんですが、やはり、地元で実際に公開会社が出てくると違うんです。認知度があがってきているんです。効果といえば、こういう変化がありますね」

なるほど。まだ、全国各地域にファンドがあるわけではないのでしょうが、それは、心強いですね。どんどんお願いします。

中小機構の支援とは

ところで、中小機構は、企業に対して自らが投資をしているわけではないんですよね。投資先を決めるなど、ファンドの運営をしているのは、投資会社ということですよね。

「ええ、そうなんです。そこはよく間違われるんですけどね。「機構はファンドの運営はしておりません。」ただし、お問い合わせがあった場合、事業内容をおうかがいして、機構が出資しているファンドだったら、どういうものが該当するかといった説明をすることはあります。が、具体的な、対象となる業種や地域、投資金額などの投資条件については、直接投資会社さんにお問い合わせいただくことになります。

また、資金調達全般に関してのご質問でしたら、是非、中小企業・ベンチャー総合支援センターにご相談ください。センターでは、企業様の事業内容や事業の段階をお聞きしながら、それにあった資金調達についてアドバイスいたします。提供している情報も豊富ですから、是非、活用してください。

それで、中小機構は、直接ファンドを運営していないというのは、有限責任組合員でもあるからなんですよ」

「ユウゲン」……?

「はい。こちらをご覧いただけますか」

図2 ファンドの仕組み
図2 ファンドの仕組み

「実際にファンドを運営する投資会社は、「無限責任組合員」で、「ファンドを運営するときに生じる債務については無限責任を負います。また、ファンドの債務の全額を請求される可能性もあります。」例えば、ちゃんとした理由もなく投資先が選ばれたり、投資金額が設定されたり、その投資行為自体に明らかに問題がある場合は、責任を負う義務が生じます。「有限責任組合員」は、「出資の価額を限度として責任を負う」もので、出資したお金に応じた責任を負うというものです。機構は、こちら「有限責任組合員」なんです」

はぁ、そうなんですね。でも、これだと、なんだか、お金だけ出しているって感じも……

2つのポイント

「そこなんですポイントは。ポイントは2つあります。一つは、お金を出していることそのものについてなんですけど、中小機構は、ファンドに出資をすることで、ファンドが容易に組成できるよう助けているのです。

やはり民間の資金だけでは、組成が難しいファンドというのがあります。例としては、特定地域内の企業など、投資対象先が限られているファンドなどですね。

ファンドは資産運用なので、どうしても儲かることが優先されます。となると、投資対象地域が限られる場合、投資先の数が少なくなって、儲かりにくいと投資家が判断する場合、資金は集まりにくくなるわけです。でも、資産運用という観点だけではなく、もっと広く地域経済への貢献ということを考えたら、地域密着型などは貢献度が高いと期待される。機構は、そういうファンドに出資しているんです」

なるほど、機構は、もっと広く、ファンドによる地域経済の発展というのも視野に入れているんですね。

「で、もう一つのポイントなんですが、中小機構は出資だけを行っているわけではないんですよ」

えっ?

(ということで、紙幅がつきてしまったので、つづきは来週に)

 

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 それいけ!ベンチャーファンド

【第1回】なるほど!ベンチャーファンド

【第2回】これだけは知っておきたい!活用の心構え

【第3回】ココが知りたい!ファンドのあれこれ

【第4回】投資会社に聞く!支援の現場では